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2014年12月03日05:11

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自家発電・大流行


 ドイツでは、電力を自前の発電設備から調達する企業や個人が増えている。ドイツ経済研究所の調査によると、2012年のドイツの電力消費量の中で、自家発電による電力は11%に達した。この比率は2008年を3ポイント上回っている。

 自家発電の人気が高い理由は、コストの安さ。ドイツでは、電力販売会社から電気を買うと、再生可能エネルギーを促進するための賦課金を徴収される。その金額は、1世帯あたり毎年266ユーロ(3万7240円・1ユーロ=140円換算)に達している。しかしこれまで自家発電装置は、この賦課金を免除されていた。

 電力販売会社から電気を買う時には、送電線や配電線を使って電力を送るための料金(託送料金)が加算されるが、自家発電ならば託送料金はかからない。

 このためドイツの約5万社の企業が自家発電によって、電力コストを節約していた。
 余った電力を送電事業者に売れば、他の消費者が払う賦課金に支えられた収入も転がり込む。持ち家率が比較的高いドイツ南部では、自宅の屋根に太陽光パネルを取り付けて、エコ電力を自分で使うだけではなく、電力会社に売って追加収入を稼ぐ市民も増えている。

 メルケル政権は、今年1月に再生可能エネルギー賦課金の伸びに歯止めをかけるために、助成制度の改正案を打ち出したが、その中には新規に建設される自家発電設備だけではなく、設置済みの自家発電設備からも、部分的に賦課金を徴収する方針が含まれていた。

 この案については、産業界が猛烈に反対。ロビー団体は「電力コストがさらに高くなったら、企業は生産施設を国外に移すので、失業率が上昇する」と圧力をかけたために、メルケル政権は設置済みの自家発電設備からの賦課金徴収をあきらめた。

 これまでドイツでは、大手電力が発電した電力を、販売会社が消費者に売るという形態が主流だったが、今後は発電設備がどんどん全国に分散していく。

原子力発電所が2022年末に完全に廃止されれば、この分散化傾向がさらに強まる。これは日本とドイツのエネルギー構造が大きく異なる点である。

(文と絵・ミュンヘン在住 熊谷 徹)筆者ホームページ: http://www.tkumagai.de
 
 

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