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2020年02月27日21:37

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もうひとつの日常・塩売りのトランク/兵庫県立美術館

明日の朝にでも、やっぱりやめておきますと電話しないといけない。何も考えずに返事をしてしまった。人の先に人が、その人の先に人が、その先に人が連なっているから、さっきの返事はとてもよくなかったんだった。明日、電話はつながるだろうか。伝言をお願いすることになったら、伝言はちゃんと伝わるだろうか。

兵庫県立美術館のコレクション展「もうひとつの日常」と、マルセル・デュシャンの企画展を、連休のどこかの日に観に行った。いま観るのにとてもふさわしい展覧会だった。ゴッホ展も観ることができたらラッキーだったけど、行列がすごくてパスした。うねうねした行列の隙間を縫って逃げるように「もうひとつの日常」への階段を上がる。デュシャンの《トランクの中の箱》、その箱の中がひとつひとつ開けられ、分けられて並べられている暗い部屋へ迷い込む。

もうひとつの日常の構成に沿って歩くと、もうひとつの日常へ帰ってくることになる。安井仲治の濃くて濡れた影に、高松次郎のあわく乾いた影に、ぬめりと舐めとられ失ったわたしを置いたまま。ぐるぐると歩くあいだに舐めとられ、残った我が身をおぶって帰ってきたのがわたし。わたしの日常が残る。「もうひとつの日常」たちと別れ、駅に戻る。大阪駅に着いた頃にはもう日が沈んでいて、向かい側のホームにも暗くなった人たちがいる。向かい側の暗くなったところにわたしはおらず、電車のなかにもいくらかのわたしを置いてきた。二月のある連休の、日が暮れた時間から弾き出されて歩き続け、だんだん小さく細く、見えなくなるのがわたし。

残った声を使って明日の朝にでも、電話しなければ。電話したら誰か出てくれるんだろうか。



2019年度コレクション展掘,發Δ劼箸弔瞭常・塩売りのトランク「小さな美術館」

(兵庫県立美術館)
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