mixiユーザー(id:597544)

2019年10月22日23:03

33 view

泉斜汀「百本杭の首無死体」幻戲書房

泉鏡花の弟の時代探偵小説集。
探偵小説と云っても普通に𢇕靈も現れる。又、推理よりも探索に依って発見された犯人の陳述などに焦点が当てられている・・・と想ったら、最初の方で登場している探偵役の人物は實在の奉行所役人だそうで、明治に成ってから自分の知識などを本に残していると云う。作者はその人物の知己を得て作品を書いていたらしく、何処迄が創作で何処迄が實際の出来事だったのかは判らない。
解説を読むと、奉行所から引き継いだ新政府の担当が調書などの資料の重要性を氣付かず要らぬ書類だからと廃棄してしまい、後に慌てて回収しようとしてもかなり失われてしまったと云うが、明治新政府に人材があまり居なかったのだな、とつくづく想い知らされる。
余談だが、漢字の用い方も良くて、中でも「恁麼(このよう)」を「こんな」と読ませるのには感心した。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する