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2017年02月24日01:14

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日下三蔵の昭和ミステリ&SF秘宝館 平井和正Part2「あなたの知らない平井和正」(平成29年2月12日)

新宿カフェライブワイヤーにて。
ゲストは七月鏡一先生。
今回は「地球樹の女神」以降を取り上げる。ネットがまだパソコン通信の頃から作品のネット配信に依る作者から読者へのダイレクトな作品提供を試みておられた平井先生は、幾多の出版社(の編集者)との不和(?)の末に或る時期から電子書籍中心に移られるが、今回はそこからの話。電子書籍中心の場合、紙で出ないものも有り、出ても限定出版だったり通販だったりで、ずっと追いかけているファン以外には把握し辛い事からこのタイトルに成ったと云う。
実際のところ話し手の日下さんご自身が紙専門で電子書籍をまるで読まれていないので今回苦労されたみたいで、例えば幻魔大戦Deepトルテックの前に幻魔大戦Deepが有る事を把握されていなかった。
実際、「地球樹の女神」以降、平井先生は可成りの枚数を書かれておられるが、これが一筋縄では行かない。同じシリーズでも最後のウルフガイシリーズ「月光魔術團」(それ迄のウルフガイ全部を総合したより長い)などは第一部がアスキー、第二部がメディアワークス、第三部が電子書籍で後に通販専門で新書サイズのハードカバーが刊行された。幻魔大戦は「ハルマゲドン」が中断していたが、電子書籍で東丈の姪で犯罪者が犯罪を犯す前に超能力で察知して捕まえてしまうので(つまり相手は無罪)警察を辞めざるおえなかった若い娘を主人公或いは狂言回しとし、ウルフガイシリーズをも取り込んだ「幻魔大戦Deep」を出された後、幻魔シリーズの完結作と成る「幻魔大戦Deepトルテック」は電子書籍と共に差う半専門で高めの豪華限定本が刊行された。ちなみに平井先生の本の通販出版を幾つか刊行している駿台曜々社はいつもはノンフィクション等を出していいる会社だが、編集者が平井先生のファンだった事から出版されていて、「月光魔術團」の第一部刊行も編集部に平井先生のファンが居た事から実現したと云う。結局ファンに支えられているんだな。まあ、それだけファンが多いからこそダイレクト販売の電子書籍でも作品が広まった訳だし限定出版の豪華本を出してくれる出版社も購買者も居た訳だが。

尚、「月光魔術團」は平井先生ご自身ライトノベルを意識されたもので、それについて担当が参考に持って来たのが青心社の「邪神ハンター」だったと云う(だから、エロシーンが多いのか(笑))事でもともと士郎正宗のファンだった先生はカラーで描かれたエロティックな挿絵を御覧に成って挿絵を全部カラーでと泉谷先生に指示され、マンガ風のタッチにされる様に指示され何度もダメ出しをされていたと云う。
七月先生にはライトノベルと云う名称に対する不満を洩らしておられたそうで「ライト=軽い」が引っかかっておられたらしい。自分の小説を「軽い」と云われるのを作家達は、皆、気に成らないのかと云っておられたそうで、七月先生は軽音楽と一緒だと説明されておられたと云う。(客席から「ヘヴィメタルでも軽音楽」との声が飛んだ)
ラノベと云えば、コバルト文庫が創刊された頃、筒井康隆先生が危機感を持たれて平井先生に「大変な事に成った。僕らの作品は若い人達が読んでくれているのに、そうした人達向けのレーベルが出来てしまった。これでは僕らの作品は読んで貰えなくなってしまう」と云われた事が有ったそうで、その話を七月先生は平井先生から伺ったそうだが、筒井先生、実に慧眼・・・。
処で平井先生の作品と云うと、矢張り生頼範義先生が切っても切り離せない。平井先生の著書の書映を映し出すとウルフガイや幻魔で生頼先生のイラストのものが・・・作品を熱心に読み込んでから絵を描かれたと云う生頼先生のイラストはどれも美事の一語に尽き、獣からメカに至る迄、皆、素晴らしい。現代のメカも描かれている生頼先生だが、真・幻魔で生頼先生の描かれた犬の帝国の戦艦がファンタジー風ではなく現代にもそのまま通じたデザインなのが特徴で、八木アンテナ迄見えるとの指摘。
少年マガジン版幻魔大戦のアニメをTVシリーズでやろうと云う企画が有ったらしい。月が落ちて来た後もゆる積りで26話構成で企画していたらしいが、その内にテレビ局のプロデューサーから近々人事異動が有り、このまま残れれば企画を進められるが、もし今後連絡が無ければダメだったと想ってくれと云われ、その後、連絡が来なく成ったとの事。残念な気もする。
又、死霊狩りを海外で実写化しようと云う話が以前に持ち上がったらしいが、企画を推し進めていた会社が映画から撤退してしまい消滅したらしい。
平井先生の未発表作としては「少年のセクソロジー」・・・おそらく単行本一冊分が残されており(対に成る「少女のセクソロジー」は「幻魔大戦Deepトルテック」に収録済)、可成りエロティックにものであるらしく、何処かでBLだと云って売れないだろうかと云う話も出た。
観客席に居られたカフェライブワイヤーの常連の方から、「脳天気」と云う言葉は平井先生が最初なのかと云う話が出た。「能天気」の文字の書き換えだが、平井先生のオリジナルなのか、それとも当時の平井先生の周辺で既に誰かが使っていたのか結論が出なかった。先日の鏡先生のトークショーの時に聞いておけば良かった。鏡先生のトークショーで機会が有れば質問してみよう。
ファンの方が持って来られた昔の読者交流会の映像が懇親会で流されたが、まだ高校生の頃の七月先生が映っておられた。
平井先生の作品は電子書籍オンリーのものも含め全部キンドルで出る予定のようなので、特にアブダクションシリーズなどに期待する。
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