アフガニスタンに生命の水を ペシャワール会 中村哲氏講演より
転載元より抜粋) 長周新聞 15/9/2
アフガニスタンで農村復興のため水利事業に携わっているペシャワール会の中村哲医師の講演会
◆質疑応答
質問 何十年も活動を続けられる原動力はなにか。
中村
仕事上「疲れたからやめよう」というわけにはいかない。早く作業から引き揚げたいと思ったことは何度もあるがここで自分がやめると何十万人が困るという現実は非常に重たい。
また多くの人が私の仕事に対して希望を持って何十億円という寄付をしてくれている。その期待を裏切れない。なによりも現地の人たちに「みなが頑張れば、きちんと故郷で1日3回ご飯が食べられる」という約束を反故にすることになる。
日本では首相までが無責任なことをいう時代だが、十数万人の命を預かるという重圧は、とても個人の思いで済まされるものではない。みなが喜ぶと嬉しいもので、それに向けて努力することが原動力だと思う。
質問 食べ物は。
中村
ナンが主食で、カレー味のないカレーのようなものを食べる。豆が多く、普通の貧しい人たちは1年に1、2回しか肉を食べない。
質問 アフガニスタンの人たちは、日本人をどう思っているのか。
中村
もっとも親密に感じているのが日本だ。彼らにとって「日本」と聞いて連想するのは長崎、広島、日露戦争だ。どこに行っても知らない人がいない。
日本も同じように戦後の荒廃から立ち上がった国だが、一度も外国に軍隊を送ったことはないという信頼だ。日本人は国連職員よりも安全だというのが一昔前まで一般的だった。
しかし、そのメッキが少しずつはがれつつあるのが現状だ。
質問 アフガニスタン人の視点から見る現在の日本の積極的平和主義を掲げる動向、また日本人についてどう思うか。
中村
日本に帰ると別の惑星に来たように感じる。
第一に元気がない。アフガニスタンでの最高に近い医療が受けられ、恵まれている割にみな不幸な顔をしており、自殺が多い。アフガニスタンは貧しい国で、他殺はたくさんあるが自殺はない。
日本の政権については、こんなバカな政権はない。
向こうではみな権力に対して従順でない気風がある。
対照的に日本人ほど権力に弱い国はないと感じる。
現政権がアフガニスタンに出現したとするなら、もう何十回か暗殺されている。その点が日本との違いだ。
個人的なことをいうと憲法に従う義務はあるが、政権に従う義務はないと考えている。
質問 治安は悪いと聞くが、新しくできた農村、灌漑施設、病院、先生個人の警備は警察がしているのか。
中村
自分の身は自分で守るのが鉄則。用水路は命にかかわるので、「中村とは運命共同体だ」ということで大事にしてもらっている。
作業員のなかにはイスラム国やタリバンなどもたくさんいるが、彼らのなかには、やむをえず傭兵になった人がたくさんいる。
敵かどうかは、自分たちと運命共同体であるかどうかと密接に関係している。路上では爆弾事件が増えているので注意はするが、作業場ほど安全な地域はない。
リンク先
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=97164
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3606231
ログインしてコメントを確認・投稿する