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2022年06月22日17:32

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大局を見誤るストーリーテラー達

■マクロ経済に個別議論を持ち込んでストーリーテラーを始めるマスコミ■

配達時にカーラジオを掛けてみた。

ある芸能人がどこそこの牛丼がこれだけあがった、と述べ、物価が上がっているのではないかと述べた。またあるチャンネルでは百均ショップの質が落ちた、前はスポンジが5枚入っていたのに、3枚しかない・・・だから物価が上がったといった論説を始める。

個別には事実だろうが、これはマクロ経済の話だから、俯瞰的にモノを見ないとポイントを見誤る事になる。マスコミがストーリーテラーとして、1つの例からすべてを説明したがる、最初に結論ありき、一事が万事という論調はよくある。

しかしマクロ経済の説明のときには殆ど間違いになる。

だから「物価」が上がってインフレという事にはならない。実際、5月20日に発表した4月度の消費者物価指数では全体では確かに+2.5%だったが、これに生鮮食品といった価格変動の激しい品目を除いた指数(コアCPI)では+2.1%、更にその他の品目でも比較的価格変動が激しい品目を抜いて抽出したもの(コアコアCPI)に至っては+0.8%に留まっている。

インフレかデフレかは総供給>総需要の時はデフレ、その逆はインフレであり、個別の品目が上がったからといって、それが物価が上がり、インフレになったと決めつけることは出来ない。なお、これだけ生活必需品、ガソリン、生鮮食品が上がったとはいっても、日本は相変わらず総供給>総需要の状態で、デフレの状況にある。この差額は統計は色々と出てはいるが、30〜45兆円弱といったところだから、デフレの状況にある。

■主要国で日本だけが2021年度よりも経済成長率が高くなる■

物事には何事も表と裏がある。マクロ経済でも同様のことがいえる。マスコミ御一行様は部数欲しさか、新コロの報道で味を占めたので、「恐怖煽動」をすると視聴率が上がるからそのようにしているのか定かではないが、円安の別の側面について何も言及していない。これが1ドル80円だ、100円だ、という時は円安の側面は述べていたのだが・・・。何を述べていたのかといえば、

円安になるとGDPが増える

というものである。IMF、ブルームバーグ、日銀、その他の民間の経済調査機関でも、2022年の経済成長率の予測で、日本、アメリカ、欧州、中国と比較すると、日本だけが高くなっていたのである。

お暇でしたら、各社のサイトをご覧頂ければと思います。

目安として、日本円が10%安くなると、GDPの成長率は1.0%ぐらい増える。ウクライナ開戦(2月24日)から見て20%ぐらいは安くなっているので、2.0%ぐらいは増えることになる。

実際、どの民間の調査会社も日本の経済成長率は平均して+2.2%ぐらいと予測している。勿論こういう話をすると「中小企業は」という話になるが、確かに為替というのは、中小企業には円安は不利。

ただし、エクセレントカンパニーには有利だ。

輸出比率が全然違うためだ。輸出は世界市場で行わなければいけないから、比較的エクセレントカンパニーには有利になる。

輸入は誰でも出来るし、反対に中小企業は輸出比率が低い。そのような意味では、円安の恩恵を得にくいのは間違いない。それでも、プラスマイナスを合わせるとプラスの方が大きいので、GDPが増えるということだ。

先日WBS(ワールドビジネスサテライト)で、これらの企業を中心に設備投資が激増していることが報じられていた。果たしてこれが中長期的に続くのかは課題だが、背景には20%もの円安、更にはチャイナの強引なゼロコロナ政策によるロックダウンで、中国企業は納期をコロナで守れないという事で、多少高くても安全確実な日本製品に、と世界各国が中国から日本にシフトし始めている。またロシアのウクライナ侵攻で、中国が企画する壮大な一帯一路の後退が目に見えて来たからだ。

★ウクライナ侵攻が引き起こしたチャイナの一帯一路構想の後退につきましては後日ご説明いたします。★

ここでも個別議論ではなく、全体を俯瞰的に見る事が重要になる。

■経済成長率+2.2%程度では内需拡大政策、財政出動をサボっている証拠■

通常、日本が円安の場合、世界から叩かれる。実際に韓国の朴槿恵政権時代、ウォンは安く、世界から叩かれた。しかし今回は皮肉にもロシアのウクライナ侵攻で世界の目がそちらに釘付けなので、日本の円安は無視されている。これは非常にラッキーだ。

先ほどの経済成長の予測で「あれ?」と思われた方はなかなか鋭い。

20%の為替安でGDP+2.0%。何と為替で説明がついてしまうからだ。隙あらば増税したくて仕方がない日本の「Z」の言いなりのきっしーはどうせ何も経済政策をしない、と民間のシンクタンクに予測されていたとしたら、随分と足元を見られたものだ。(笑)

諸外国から文句を言われる前に景気対策をやるべきである。そうすればコロナ不況は挽回することも可能なはずだ。

日本のような内需立国では住宅やクルマのような単価の高い品目でないと即効性は薄い。しかも住宅はロシア産の木材が入荷せず、建材、特に木材の価格がうなぎのぼりだ。クルマも半導体が入手出来ず、ディーラーも売りたくても半年から9か月待ちの車種も珍しくはない。そこで例えばコロナ対策を万全にした上で今こそGoToを復活させるとか、10万円の給付をもう一度やるとか(これは国民民主党が提案)、時限付きで消費税減税をやるとか(これは維新が提案)輸出関連事業が無い中小企業の支援も忘れてはならない。

仮に経済対策で景気が良くなると、インフレ率も高まるだろう。しかし景気対策を行なって所得が上がれば、簡単に転嫁できるという意味で、そちらの方が都合が良い。インフレ率が高くなっても、景気対策で所得が十分に上がっていれば問題はない。

逆にインフレ率が高まらないように所得を少なくすると転嫁できないから、企業の方にしわ寄せがいってしまって、最後は雇用に影響する。これがデフレ期の日本経済の問題だったが、それが解決出来る。インフレは怖いと云うのは易しいが、そうではなく、それ以上に十分なくらいにお金を景気対策で撒く、それが正しい向き合い方ではないだろうか。

(了)

■今後の「値上げ」が過半数、家計への逆風さらに 企業トップの胸の内
(朝日新聞デジタル - 06月19日 09:04)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=7001474
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