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2022年06月12日23:12

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デジャブ【ソ連邦崩壊と酷似して来たロシア】

■南部ヘルソン、進むロシア支配 「地下に600人監禁」
(朝日新聞デジタル - 06月11日 23:03)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6992324



■実効支配の強調は国内向けの色彩が濃い■

ニュース記事や映像を拝見した限りだが、どちらかというと、国内向けへの行動ではないだろうか。プーチン政権はNTVを傘下に収め、実質には血で血を洗う凄惨な戦争なのだが、国内向けには「特別軍事作戦」と謳い、ウクライナに宣戦布告は未だにしていない。

2月24日に戦端が開かれるや、電撃的にウクライナのゼレンスキー政権を引きずり下ろし、傀儡政権を立てる目論見だった。恐らく北京のパラリンピック開催までに実現する積りだったのだろう。しかしご承知の通り、この目論見は頓挫した。特に開戦初日のホストメル空港奇襲作戦がウクライナ軍の精鋭、支援したアメリカの特殊部隊(アカデミ)に察知され、激戦の上、投入した空挺部隊が壊滅的な打撃を受けた事が大きい。その後陸路や空爆などでキーウ(キエフ)を攻略しようとするが、ロシア軍は決定的に歩兵が不足していたこともあり、これも失敗。第二の都市・ハルキウ(ハリコフ)からも締め出された。黒海では旗艦モスクワがウクライナ軍の奇襲攻撃で撃沈された。

北京パラリンピックまでに達成が無理であれば、5月9日の対独戦勝記念日に特別軍事作戦の成功を宣言したかったが、これも無理。更にせめて6月12日のロシア共和国連邦の建国記念の日、「ロシアの日」作戦成功を宣言したかったが、これも無理。という事で形だけでもロシアの実効支配をアピールしたいという目論見が読み取れる。

現状はどうなのだろうか。ウクライナ・ロシアの戦争は東部戦線、南部戦線、黒海戦線とに分かれると考えられる。それゆえこれらを俯瞰的に見なくてはならない。

■東部戦線:総力戦の様相■

日本のマスコミの報道だけを見ていると、さも2022年になってから東部の大部分を占領されているかのように見える。しかしながら東部は2014年のソチ五輪直後からロシアに攻め込まれ、占領されていた。既に占領地で、更に本国と接していることから、キーウ(キエフ)、ハルキウ(ハリコフ)とは異なり、兵站もしっかりしているのだ。そのことを念頭に置いてみる必要がある。

6月10日、ロイターなどによれば、ウクライナのルハンスク州のハイダイ知事はロシア軍のセベロドネツク制圧は当初6月10日を目標にしていたが、22日に延期したと述べている。矢張り12日の「ロシアの日」には間に合わなかったようだ。この背景には既に占領地ゆえ補給路もしっかりしているロシアに対し、ウクライナ軍が思いのほか善戦していることが挙げられる。

ハイダイ知事の発言を裏付けるものとして、イギリスの国防省も6月11日、BBCなどによると、「ロシア軍はセベロドネツクの街の一部を掌握しているが、南北からの包囲網に進展はない。」という見解を示した。

アメリカ軍から供与が決定した移動式ロケットシステムのハイマースは訓練に時間が掛かる。実戦投入がどれだけ早まるか。最短でも6月下旬、とする見方が多い。

一方、補給路がしっかりしているとはいえ、肝心のロシアに継戦能力があるのかどうかも問題である。

今後のロシア軍の動きとして、セベロドネツクを制圧した後、河を挟んだリシチャンスクを攻略するだろう。しかしここはセベロドネツクよりも高低差があり、台地である。ここでもしハイマースが到着することになると、渡河の際、上からウクライナ軍が一斉に攻撃する戦術が予想される。




リシチャンスクの次はスラビャンスク、クラマトルスクの順に駒を進めるものと予想出来る。特にこの二つの街はウクライナ軍にとって、東部最強の軍事的要衝である。相当強固な守りを固めている。もしこの二つの街が陥落した場合、折角締め出したハルキウ(ハリコフ)、イジュームもロシアの手に落ちるだろう。

しかしながらセベロドネツクがこの状況ではロシア軍の損耗も相当酷いことが窺えるのである。果たしてロシア側にどの程度継戦能力があるのか。

■南部戦線:朝日の報道とは裏腹にヘルソン北方15kmまでウクライナ軍が迫る■

へルソン州、ミコライウ州ではロシア軍が守勢に回る局面も珍しくなくなっている。6月9日ウクルインフォーム(※発音には自信がありません。。)によれば、欧州安全保障機構(OSCE)のカーペンター米国駐在代表はウイーンの常設理事会で現在ロシアが占領している南部へルソンは解放されるだろうと発言した。

これを裏付ける意味で、ミコライウ州知事のキム氏は「西側から続々と届く重火器により、ロシアが侵攻を続ける南部情勢が少しずつだが、変化している。ミコライウ州、ヘルソン州の奪回は『時間の問題』」と述べた。

勿論へルソン州でも反転攻勢が続いている。6月11日のへルソン市議会の報告によると、ウクライナ軍はへルソン市北部のロシア軍の陣地をしばしば襲撃し、40km圏内のキセリフカ、ソルダツケ、オレクサンドリヴカで反転攻勢を行なったという。なお既にキセリフカに隣接する北方の街、ブラホダトネを6月8日に解放している。もしここでキセリフカが奪回された場合、へルソン市に北方15km以下に迫る情勢となる。

東部の戦況は流動的に対し、南部はウクライナにやや優勢に展開しているのが現状と云えるかもしれない。

なおアメリカの戦争研究所(ISW)によれば、ウクライナにとって、中長期的には東部に比べると、南部の方が戦略的価値が大きいと指摘。停戦協定の施策を各国が模索しているが(なぜ安倍元首相、森元首相を擁する日本もやらないのか。全く歯がゆい)、イギリス、ポーランド、フィンランドはウクライナの完全な勝利を望むものの、アメリカ、ドイツ、フランスは領土を開戦前に戻すべきだという主張が多いため、もし米、独、仏の主張が通った場合、いずれまたロシアは侵攻して来るの目に見えているから、その点では南部の方が戦略的価値が大きいし、防備を固めやすいのは確かだ。

■黒海戦線:最早嘗ての黒海艦隊の実力はない■

CNNは6月11日、黒海艦隊には12隻の揚陸艦が存在するが、そのうち4隻は修理中と報じている。

大和大学・佐々木正明教授は10日、BS日テレの「深層ニュース」で、黒海艦隊は本来中東を睨む重要な任務を担っているが、この度の戦争の痛手は大きく、長期的な影響は避けられない、という趣旨を発言した。

旗艦モスクワの沈没などによって、嘗てのように中東に睨みを効かせていた時の実力はないと云って良いだろう。実際ロシア軍のミサイルもあろうことか対艦ミサイルを地上物に狙ってくるほどで、弾薬のストック不足が窺える。

更にここへ来て早ければ今月中にデンマークなどから供与される事が決まっている、ハープーンミサイルが実戦投入されるとなるとロシア軍にとって、益々厳しい。

■戦争の行方とロシアの今後■

ウクライナ国防省の情報総局は6月11日、SNSの「テレグラム」にて、次のように述べている。

ロシアは後1年は今のペースで戦争を継戦出来る。プーチン政権は西側の経済制裁の解除のため、当面は休戦を試みようとするが、その後は執拗に侵略を続けるとみられる。西側からどれだけ軍需物資が届くかにかかっている。但し、ロシアのミサイル攻撃は大幅に減っており、70年代の旧ソ連製のKH-22を使用しているのが確認されていることから、高精度なミサイルは不足しているのが窺える。

ロシアの2022年の国防費は3.51兆ルーブル。輪転機を回せば確かに増えるが、早晩30%以上のインフレに突入する。ロシア経済の最大の強みは石油価格だが、EUがロシア産の天然ガスの輸入を9割減らした場合、2023年度のロシアの歳入は300億ドル以上減るかもしれないとする分析もある。

ここへ来てOPECプラスは2020年から続けて来た減産から増産に転じる動きを示している。

JETROによれば、ガソリン高も如何やら一服しそうである。▼

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OPEC加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は、6月2日のオンラインの閣僚級会合(第29回OPECおよび非OPEC閣僚級会合)で、追加増産に合意した。前回の会合までは、ウクライナ情勢などによる原油価格の高値が続く中でも、見送っていた。6月までは月間生産量を日量43万2,000バレルずつ緩和してきたが、2022年7月と8月には、日量64万8,000バレルに上方修正すると発表した。背景として、世界各地のロックダウン解除による経済再開や、世界の製油所の取扱量増加による需要増などを考慮したとしている。

今回の決定を受けて、米ホワイトハウスの報道官は歓迎の意を示すとともに、サウジアラビアとOPECが果たした役割を称賛したと報じられている。またEUは、5月30日の首脳会議で、6カ月以内に海上輸送によるロシア産原油、8カ月以内に石油精製品の輸入を停止する方針で原則合意し、6月2日に正式に承認した。

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このニュースで重要なのはOPECプラスもロシア産のシェアを奪いに行く動きを示したという事である。

思い出して頂きたい。

嘗てのソ連はアフガニスタン侵攻で1万4千人の死者を出し、失敗。その後の石油価格低迷であのソ連邦も崩壊した。

ロシア軍の犠牲者はどうか。ウクライナ国防省は4万人以上と述べている。しかしこれはプロパガンダで、過大の可能性もある。アメリカもイギリスも流石にそこまでは達していないかもしれないが、3万人に達しているのではないかと分析している。こちらの方が正しいかもしれない。既にアフガニスタン侵攻以上の犠牲者が出ていることは間違いない。しかも当時のソ連邦はイギリスの「ミリタリー・バランス」によれば、兵力480万人(cf.極東ソ連軍は39万人)とされていた時代だ。開戦前のロシア軍は90万人。割合からして全く膨大な損耗を出している。

軍事的失敗+石油価格暴落→国家崩壊

という構図は酷似して来た。

ロシアもソ連と同様、とどめを刺されるかもしれない。

★★地名がたくさん出て来ましたので、グーグルマップを埋め込みました。カーソルを動かして頂ければ、少し分かりやすくなるかもしれません。

(了)

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