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2021年05月30日23:11

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言いたい放題のクルマレヴュー【4代目・スズキ・ソリオ・その2】

■ライバルとは目指す方向が違う■

だいぶ新型の発表会に見に行ってから、コロナもあって、試乗出来ていなかった。スズキ車にお乗りの方で「あいつ、忘れているのでは」と思われた方がいらっしゃったら、遅れたことをお詫びしたい。

トールなミニミニバン(最近これを「プチバン」と呼ぶらしいが)では独壇場の地位にあったスズキ・ソリオだったが、トヨタはスバル、ダイハツを抱き込んで露骨なまでのソリオ潰しを遮二無二やっている。三社がそれぞれ別の車名で出すほどである。

しかし結論を言えば、サブタイトルに記載したように、ライバルとは全く別物であり、目指す方向が違うことを先代と同様に意識することになったと記したい。

それではどの点でそのように言えるのだろうか。試乗したコースは東京都の郊外を含む高速道路、郊外の道、ツイスティなワインディングロードはないものの、それなりのアップダウンのある道である。

余り燃費運転が出来る場所ではない。しかしその分実用域のドライブフィールがどうなのか、まともに出やすいコースである。

このルートで試してみた。

■ベーシックカーのエンジンとしてのツボは押さえている■

乗ったのはマイルドハイブリッドではなく、ベーシックな1.2LのK12Cエンジン。2代目のスイフトの後期型から載せられるようになった。このエンジンは中から高回転の方が元気だ。本当は2代目スイフトにあった、1.5Lエンジンの方が低〜中速トルクがたっぷりなので、このソリオに相応しい気がするが、1.5Lエンジンは下ろされ、K12Cエンジンがスズキのベーシックモデルの主力となっている。

この手のベーシックカー、コンパクトカーにありがちな、ある回転数を過ぎるとそこからはスカスカで喧しいと言った悪癖が全くない。正確には振動はしているのだが、その振動に嫌味がないのだ。意地悪く「Sモード」にして、それで3000rpm平均で走らせても同じ。官能的とか、質感が良いとまでは言うつもりはないものの、日常域では非常に快適だ。この性格は日常の足代わりに使われたり、時には帰省に使われたりもする、ベーシックカーでは極めて重要な部分。

ソリオというクルマの性格にマッチしたエンジンの味付けである。

長年薄紙を重ねるようなカイゼンで最早「熟成」と云っても良いレベルに達したといえるのでないか。

■やわらかいドライブフィール■

ソリオは若者受けの好いCMを代々展開してきたが、特に低速域ではやわらかい乗り心地が良い。女性や高齢者にも悪い印象を持たれることはなさそう。この手のコンパクトカーだから、価格の縛りもあるため、スズキといえどもなかなか高級車のような投資は出来ないと思う。しかしその中で後部座席の突き上げは全くない訳ではないものの、衝撃というよりも、揺さぶられている程度かな、という感じである。特に市街地こそ、この良さが光る。

反対にライバルのルーミー、タンク、ジャスティは足回りも硬い。このため、高速道路では快適な反面、ソリオと比較すると市街地で結構突き上げが来る。ハンドリングもシャープに振っている。プチバンというよりも、ヴィッツに近い。一人で乗る事がほとんどという人であれば、これでも良いのかもしれないが、家族全員乗車で投票した場合、ソリオに軍配を上げるファミリーは多いのではないだろうか。

やわらかいドライブフィールと書いたが、決して挙動はもっさりしている訳ではない。実際車重を見れば明らかで、ソリオがNAの91馬力で960kgに対し、ルーミー・タンク・ジャスティは98馬力の1Lターボで1100kg。いくら1Lターボといえども100kg以上の車重の差があれば、かなりの部分が吸収されてしまうだろう。

追い越し車線でも加速では軽い車重と相まって、なかなか軽快に走る。トヨタ・ヤリスのハイブリッドとの比較ではヤリスの方が試乗してパワフルだったが、ヴィッツ・ハイブリッドよりも速く感じた。実際タコメータの上がる反応がビビッドでなかなか気持ちが良い。

しかしその反面、坂道からのフル加速を要する局面では余り得意ではないようだ。ただこのクルマ自体が着座位置が高く、フロントガラスが遠くて広い。そこから受ける印象は、速度感が弱い。実際の速度より遅く感じやすく、ゆったり感が強いからかもしれない。まあ、急がずに行きましょう、的な性格のようだ。ソリオはスローモビルである。

但し気になる面もある。そこは先端の見切りの悪さである。これは先代のソリオでもそうだったから、ソリオの性能云々よりも、このデザイン自体がそうさせているのだろう。実際、先端はほとんど見えない。というか、この手のプチバンとしては「普通に」良くない。この点も先代を受け継いでしまっている。まあ、「普通に」良くないと書いたが、直ぐに慣れる程度。とはいうものの、建物から出る際、縁石が大きかったりすると注意を要するかもしれない。その反面ドアミラーの高さは絶妙である。

妙に高級ぶらず、背伸びせず、飽く迄「道具」としての良さを追求した姿勢は健在である。ひとつ上のクラスのトヨタ・シェンタ、ホンダ・フリードなどのミニミニバンをご検討中の方も一度見ておくことをお勧めしたい。

約220kmほど走って、8割が東京郊外の道、2割が高速道路だったが、総合的な実燃費は17.4km/Lだった。決して燃費運転はしていない。非ハイブリッド車としては優秀な結果だった。

最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。

(了)

その1はコチラ左斜め下

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