16歳不明20年、血液型など公開
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■事件概要■
この事件、何となくご存じの方は多いと思う。室蘭市の繁華街にあるアルバイト先に向かう一人の女子高生が職場付近のバス停で忽然と姿を消してから20年にもなる難事件である。
ただ流石にもう20年にもなるため、事件概要が必要かもしれない。
平成13(2001)年3月6日北海道の室蘭市の高校一年生の千田 麻未さん(当時16歳)が自宅の同市白鳥台からほど近い、アルバイト先だった、スーパーハックにあるテナントのパン屋・ロブジェではなく、同市の繁華街にある本店でコーヒーの淹れ方を習いに行く途中に行方不明となった。
真っ昼間の繁華街である事、アルバイト関係者がワイドショーなどで報じられ、事件の不可解さで注目された。3月6日は平日ではあったものの、公立高校の入試日だった事で、麻未さんが通う高校も休校日となっていた。
麻未さんはバイト先の大型スーパーのテナントに入っているパン屋のロブジェではなく、オーナーのいるロブジェ本店に行き、コーヒーの淹れ方を習いに行くことになっていた。本店のスタッフの女性に麻未さんは13時過ぎに行くアポを取り、自宅を出た。
・・・以後、パン屋の本店には約束の時間になっても麻未さんは現れず、消息は不明である。
■麻未さんの足取りについて■
麻未さんについて、高校の教頭も無断で自宅を出るタイプではないと言っている。学校の成績も当時トップクラスで、同級生の男子たちの間でファンクラブが出来るほどだったらしい。つきあっている彼氏はいた。夜遊びしたりするタイプとはまるで正反対の優等生タイプだったようだ。しかもそれを鼻にかける様子も全く無い。几帳面で真面目で優しくて明るい性格だったようである。
この日の麻未さんの服装は、ベージュのブレザーにバーバリーのマフラー、Gパンに革靴、PHSを持って出かけていた。
以後、このいで立ちで出かけた麻未さんの行動を時系列でまとめると、次のようになる。時間は凡その話であり、勿論関係者の証言が全て正しいという前提に過ぎない。その点、お含みおき頂きたい。
▼11時30分 ロブジェ本店にコーヒーの淹れ方を習いに行きたいので、オーナーに問い合わせる。受けたのは女性従業員で、オーナーは不在だったが、彼女は麻未さんの要望を受け入れている。
かねてから麻未さんは学校帰りに寄りやすい本店勤務を希望していたのである。
▼12時25分 自宅近くのコンビニに寄った後、バスに乗った。友人の目撃情報がある。この友人によれば、後部座席の窓から麻未さんは手を振っていたという。
▼12時55分 ロブジェ本店傍にあるバス停(東通り)を通過。なぜか麻未さんは下りなかった。
▼13時頃 降りるべきパン屋の本店至近のバス停の3つ先のバス停(東町二丁目)で麻未さんは下車した。
▼13時4分〜13時26分 そのバス停至近の室蘭サティ(現・室蘭イオン)に立ち寄り、化粧品売り場で商品を見ている姿が防犯カメラに記録されている。
▼時間不明 室蘭サティを出るところを同級生2人と会い、彼らは道路越しに挨拶をしたという。
・・・これが麻未さんの最後の目撃情報となってしまう。もしこれ以後真っすぐ本店に向かったとすれば、当時のバスの時刻表では13時31分のバスに乗り、41分に渋滞が無ければパン屋本店のバス停に到着し、下車しているはずである。
▼13時42分 麻未さんの彼氏が麻未さんのPHSに通話している。これは通話記録に残っている。この時、麻未さんは彼氏に
「今、『下』に着いたよ。」
と話したという。室蘭特有の言い方で、『下』とはダウンタウンのことで、繁華街を指し、反対に住宅の多い丘陵の事を『山』と呼んでいたという。麻未さん一家も『山』の白鳥台に住んでいた。通信記録から、ロブジェ本店至近だという。バス停から降りたばかりのようだ。
▼13時46分 麻未さん宛に再び彼氏から電話。麻未さんは
「今、お話出来ないから、後でかけ直すね。」
と返答したという。なお、警察の事情聴取で彼は麻未さんが室内にいるような気がしたが、別に緊張した様子も感じられなかったと答えている。
▼16時頃:彼氏が電話をしたが、通じない・・・以後、麻未さんのPHSには一切つながらなくなってしまう。
■杜撰な捜査とオーナーの意味不明な証言■
警察は当初からパン屋のオーナーを疑っていた。ロブジェ本店は室蘭の繁華街にあり、大通りに面している。余程巧妙にやらない限り、真っ昼間に拉致する事は不可能に近い場所だからだ。
現実に麻未さんは消息不明である。
しかし麻未さんは幾ら大人びているといっても、16歳だ。未成年者の誘拐の可能性も捨てきれず、その場合、警察は初動段階で警察犬の投入が普通である。仮に繁華街であったとしてもである。
ところがそれをしていない。
もし初期の段階で投入していれば、当時は雨天でもなく、降雪日でもない為、麻未さんが自分の足で失踪したか、それとも誰かに拉致されたか、少なくともいずれかはすぐに判明した可能性が濃厚だ。
しかもオーナーについて、13時30分頃までいた事は従業員が証言しているものの、13時40分以降のアリバイが無い。いや、正確にはあるのだが、身内の証言なので、成り立たない。一応、麻未さんが一向に来ないので、私用で帰宅したとのこと。身内(オーナーの母親)が15時まで昼寝をしていたというだけである。なお、オーナーも母親の直ぐ傍で寝ていたと供述している。
しかしながら、この「私用」も何だったのか覚えていないと述べている。
警察は3月7日の朝には事情聴取に訪れている。しかも殆ど令状なしで家の中を調べたとテレ朝系番組「追跡・真実の行方」で彼は述べている。
が、そもそもこの講習の企画をしたのもオーナーではないのか。
また麻未さんの同級生によれば、年上男性から執拗に交際を迫られ、ストーカーに遭っていたとのことである。
果たしてこれがオーナーだったのかどうかは定かではない。しかしテレ朝系の番組「追跡・真実の行方」で、オーナーだけでなく、バイト先のハック店内のロブジェの支店長、元従業員、同級生もそれは証言しているので、信憑性は高そうである。
道警はオーナーを徹底的にマーク。24時間態勢で監視、家宅捜索だけでなく、マイカーも押収して調べた。
オーナーが犯人で、徹底的にマークし、家宅捜索すれば、ボロが出て来るに違いないという勇み足が警察犬の投入をスキップさせたのだろうか。それにしてもロブジェ本店のビルの2階、3階は調べていない。このあたりも些か中途半端な印象はぬぐえない。
※ロブジェ本店が入っているビルの構造については後述する。
手詰まりになったのだろう、麻未さんが失踪した11日後の3月17日、警察は漸く公開捜査に踏み切った。勿論公開捜査に踏み切ったのは勿論オーナーの監視が済んでからだろう。
しかしながら逮捕につながる決定的な証拠は見つからず、捜査は暗礁に乗り上げたのである。20年間で延べ4万人以上の警察官を投入し、現在も捜査は続いているものの、真相解明に至っていない・・・。
■防犯カメラの映像が意味するものとキーパーソン■
麻未さんの友人の話によれば、彼女は約束をすっぽかすような事はしない、約束は必ず守る人という評だ。何か意味があって、室蘭サティに行き、そこから30分ほど遅れてロブジェ本店に行ったのではないだろうか。実際、防犯カメラには化粧品売り場で商品を見ている姿が撮影されている。時間を潰す為だったと考えれば合点がいく。
何らかの形で時間変更を余儀なくされたのだろう。
と考えると誰もが思いつくのがPHSだが、警察は彼氏との通話すら把握しているぐらいだから、PHSの交信記録は捕捉しているはずなので、PHS以外の連絡手段で伝えたのではないか。
そして矢張りというか、変更の権限があるのは勿論オーナーだが、オーナーについてはテレ朝系番組「追跡・真実の行方」でのインタビューで従業員がこう証言している。
「『約束の13時過ぎに麻未さんが来ず、30分が過ぎた。気になるのでちょっと捜してくる。』と言って店をオーナーは出て行きました。」
オーナー以外に変更出来る人物はいたのだろうか。いたとしたら、誰なのか。
まだ結論は出さなくて良い。
現時点ではこの人物も事件の真相解明という点で、かなり有力な人物といえよう。
次回はこのパン屋のロブジェ本店について見てみよう。
最後まで御覧頂きまして、ありがとうございました。
(続く)
その2はコチラ▼
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