mixiユーザー(id:58808945)

2021年02月26日21:00

100 view

国産車の白物家電化

没個性化する新車へのアンチテーゼ? “レトロかわいい”ランクル、ハイエースに見る中古車販売店の勝算
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6422377

■ノンポリ化成功の功罪■

日本車は品質と信頼性に於いて世界有数の高い評価を受けている。クルマのユーザーの大半はクルマに特別な趣味性やファッション性を求めない人達なので、実用性、価格競争力の面で高評価を得る事が市場に於ける成功の近道なのは間違いない。

しかしながら、この点に大きな陥穽があったのではないだろうか。

クルマのに特別なファッション性、趣味性を求めない人たちというのは、経済力もクルマへの好奇心も人並みである。セグメントの割合は多いものの、高いクルマは買ってくれそうにないし、クルマのトレンドのオピニオンリーダーとしていてくれる訳でもない。

ボンネットを自分で開けたことが無い、自分のクルマぐらいしか知らない、自分のクルマのタイヤのサイズも適正な空気圧も知らない、そういったユーザーが激増しているのが昨今である。

特に国産メーカーのトップのトヨタを新車で買えば、至れり尽くせりで、オイル交換は適当な時期に通知してくれるし、余程月間走行距離が長くない限り、こういった基本的な事を知らずとも車齢を重ねる事が出来る訳だ。それでいて、一部を除き、乗り手のやる気をそぐようなダイレクト感のないドライブフィールが特徴である。

これらから、クルマのノンポリ化が進み、車検の機会を狙って、買い替えを促すのがトヨタの伝統的な商法で、それが上手くいったからこそ、国内でトップのシェアを獲得出来たのだろう。

或る意味トヨタに追随した国内のメーカーたちもクルマのノンポリ化に成功し過ぎた事が仇となり、また日本人の所得が過去30年近く全く増えていない事と相まって、クルマがまるで白物家電のように没個性化が進んでしまったのではないだろうか。

■本来日本でのクルマ購入は特別な買い物だったはず■

そもそもこのような売り方は日本ではなく、アメリカ向けである。アメリカは確かに人口が3億人もいるが、面積も日本の25倍もあるから、人口密度からいえば、北海道の3分の1
程度でしかない。どこに行くのもクルマだ。クルマが無ければ生きて行けない。必ずしも多くの人がクルマが好きという訳ではないのだ。寧ろ好きで乗っている訳ではない人も多いはずだ。

このような国では無事これ名馬である事、次に廉価である事がクルマ選びの必要条件となる。

翻って日本は国全体を見れば、アメリカとは比較にならない程鉄道が発達している。特に東京都区部では成人は免許が無くても生活が出来る。ペーパードライバーも多い。流石に地方ではそういう訳にはいかないだろうが、日本全域がクルマ無しで生きられないという程でもない。

寧ろそれどころか、特に東京都区部では一か月2万円台であれば駐車場代は安い方で、「東京カースト」のトップに当たる世田谷区、渋谷区では5万円を越えるところだって珍しくない。5万円も払ったら、一年で1.5Lクラスの中古車一台買えるほどの負担である。

その点では日本でクルマを買う事は特別な買い物なのである。

■若者のクルマ離れは当然の帰結、メーカーの役割とは■

ということは確定需要が国全体にある訳ではないのだから、常にユーザーに必要最低限の実用機能以上の希求性を刺激していかねば、顧客は増えて行かないのは容易に想像がつく。だが、現実にやって来た事といえば、特に近年は安全装備がベタベタと付き、価格が跳ね上がる一方、メーカーは実用機能以上のものを刺激して来なかった。

今や軽自動車平均価格は何と135万円だ。しかもこの金額は軽トラからホンダS660のようなスポーツカーも全部含めた平均である。調子に乗ってベタベタと色々つければあっという間に200万円に突入する。維持費が安いんですから、高くても仕方ないですよねと言い切れないほど「高級」になってしまった。

軽自動車に200万円というタッグをつけ、ユーザーに売りつけるなんてちょっと正気の沙汰ではないと思う。これがホンダS660、ダイハツ・コペン、スズキ・アルトワークスやジムニーのような個性的なクルマであればまだ許容出来るのだが。

これで収入が全く増えない「若者のクルマ離れ」は当然の帰結である。彼らにとって大事なのはスマホ。大手キャリアの契約者でオンラインゲームをしない若い人でも統計では月間平均で1万円近く払っている。これで乗っていて面白いのであれば、借金してでもクルマを買うだろうが、それもない。ならば150万円もする軽自動車に手を出す訳がなかろう。特に都市部の若者達から見れば、クルマなんぞ高くて面白くも無い、維持費ばかり掛かる白物家電にしか見えないのではないか。

安全性は高く、燃費も良いが、収入が増えていないのにお値段も高く、乗っていてさしたる面白みに欠け、軽で150万円+の時代。このような背景では没個性化も致し方なしと考える。

もう一度メーカーは日本の市場の性格を良く理解し、クルマの面白さを伝える努力と希求性の高いクルマの開発も必要ではないかと考える。

こういった背景から、安全性も燃費も現代の水準になくてもこのようなクルマに人気が密かに集まって来ているのではないだろうか。

(了)

5 10

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する