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2016年08月26日23:50

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迷宮入り事件を解く鍵 【石井 舞ちゃん失踪事件編】

 原発震災に遭った親類。この親類一家が福島県・田村市から東京都杉並区に避難して来て5年が経った。あの時は風評被害も酷くて、子どもの学校の教諭達もかなりフォローとケアしてくれたという。中でも担任は体育教師にして熱血漢。子どもに

 「君が福島県の原発の近くから来たからといって、色々と言う子がいたら、オレに気軽に言ってくれ。」
 
 と言ってくれた。おかげで、イジメも受けずに5年が経ち、円満に卒業することが出来たという。だいぶ落ち着き、先月25日、荻窪で飲み、私の別のSNSのブログも読んで貰った。尤も彼は入会していないのだが。

 その一家の主人から、こんな依頼を受けた。

「実は以前暮らしていた田村市で25年前、奇怪な事件が発生している。未解決で、幼児が失踪して、未だに行方知れず。あんた(彼は親しい人にはこう呼ぶ)の八王子スーパーナンペイ事件の調査、洞察は見事なものだな。感心するよ。たかがブログ、と思っていたが、とてもブログとは思えなかった。是非今度はふるさとのこの事件を採りあげて欲しい。田村市は被災地ということで、誰もこのような事件を注目しなくなってしまう。風化させたくない。頼む。」

 奇しくも事件発生日は25年前の7月25日・・・。

 以前テレ朝系の「テレビのチカラ」でも採りあげられたことがあるので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれない。

 事件の概要を一言で書けば、福島県田村市・船引町で建設業を営む石井賢一さんの長女・舞ちゃん(当時7歳)が、平成3(1991)年7月24日夜〜25日早朝に掛けて、自宅から行方が分からなくなってしまったという事件である。

 この事件もまた、犯行声明も無ければ、身代金の請求も無い、家族に事情聴取を念入りに行なったが、手掛かりになるものは出ず、福島県警(以下、県警とする)も未解決の難事件として頭を抱えている。しかも事件の内容とは裏腹に石井さん宅にいた人達の状況はとても複雑である。先ず当時の状況を整理させておくと、この当時石井家には、以下の人達が寝泊まりしていた。

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◆ 父・賢一さん、母・ヨシ子さん、舞ちゃん、長男、次男、賢一さんの姪(17歳)、その恋人で従業員のKさん(20歳)、賢一さんのご両親、更にヨシ子さんの友人の女の子2人、11人もの人がいたのである。

◆賢一さんは建設会社の社長だから、家も相当広かったのだろう、当時は何しろバブル末期である。しかし幾ら広いといっても、10人もの人がいて、舞ちゃん1人行方不明になっていることに気づかない。この点も警察は悩ませた。

◆ただし、この24日、姪は昼間から郡山市に出掛けて、夜はいなかったという。

◆夕方、舞ちゃんはKさんの部屋で母の友達の子どもたちとテレビゲームをして過ごした。

◆21時頃(証言に基づく)、舞ちゃんの祖父母によると、Kの部屋の電気が消えるのを見た。また、賢一さんと息子たちが寝るのを見ている。

◆21時20分頃、祖父母はカラオケスナックにタクシーを呼んで出掛けた。この時、玄関は施錠したという。

◆21時30分頃、母の友達の子達と舞ちゃんが両親の隣の部屋で、川の字になって揃って寝る。

◆22時30分頃、母・ヨシ子さんが舞ちゃんの寝ている姿を見て、タオルケットを掛け直した。

◆その後(時間不明)、ヨシ子さんが2階の洗面所を使っていると、ドアの音がする。Kさんが外出するのが見えた。ただし、ヨシ子さんはそれほど気にせず、1階の風呂で入浴。

◆時間不明、その後、2階に何者かがバタバタと階段を駆け上がる音をヨシ子さんが耳にするも、気にせず、休む。

◆25日2時、祖父母がタクシーで帰宅。玄関は施錠したはずなのに、開いていたという。ただし、この時点では気にしなかったという。

◆祖父母、Kさんがいないことに気づき、賢一さんを起こすものの、賢一さんは取り合わず、寝てしまったという。

◆翌朝5時20分、ヨシ子さんの友達の子ども2人、舞ちゃんが居ない事に気づき、一家は騒然とする。

◆6時30分頃、Kさんが帰宅。Kさんによれば

 「夜10時半ごろ、友人に会うために、郡山へ行っていた。船引駅に着くと最終電車が行ってしまっていたので、タクシーで郡山に行った。しかし郡山には友人に会えず、始発電車で帰って来たところだ。」
 
 とのことだった。

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 この事件、状況証拠だけで見たら、明らかにKさんの分が悪い。ということで、当然県警もKさんを重要参考人として、取り調べを念入りに行なった。しかし、2週間後、解放された。彼の供述に出て来た郡山へKさんを乗せたというタクシーの運転手がアリバイを証明する証言を行なっていたからだ。

 県警の現場検証の結果、こちらに寝泊まりしていた人以外のDNA、指紋は発見されず、Kさんと両親、祖父母が揃って疑われた。とりわけ疑われたのがKさんとヨシ子さんだったが、決定的証拠は出て来なかった。

 そこで県警は警察犬まで動員するが、犬は1階の玄関前で立ち止まってしまったという。

 ・・・これは玄関から舞ちゃんが何者かに連れ去られたことを意味している。

 しかも、舞ちゃんの靴は玄関に残っているのだ。

 24日、23時頃、石井さん宅から東に少し離れたところに、ボンネットを開いた白い故障車が当時目撃されたが、翌朝には消えていた。県警はこのクルマの持ち主を重視し、船引町周辺を聞きこみ捜査したものの、このクルマの保有者だけはとうとう分からなかった。町の人のものではないと結論づけている。


■Kさんへの疑念

 
 警察から解放された後も、実は社長の賢一さんはKさんを疑っていた。

 Kさんと姪はこの日、ふたりで旅行に行くことになっていたが、賢一さんが用を言いつけた為、延期されていたことが分かった。

 恋人との旅行を邪魔され、逆恨み舞ちゃんを誘拐したのではないかと賢一さん疑ったようである。ましてやKさんは時々こそこそとシンナーを吸っているところを賢一さんに目撃されている。そのような情緒不安定なところもチェックされ、賢一さんはしばしば叱りつけている。

 更にヨシ子さんは、失踪事件から2カ月した後、舞ちゃんの両隣で寝ていたふたりの女の子から、決定的証言を得ている。それは何か?何と、テレビゲームをしていた時、Kさんは舞ちゃんに

 「真夜中12時ごろ、一緒にどこかに行こうか?」

 というものだった。

 両親は県警にこの証言を報告したものの、無理に聞き出したのでないのか、子どもの証言だしね、と一蹴された。確かに小学生の証言では裁判を維持することは難しかろう。残念だが、県警の方がこの場合は筋が通っている。

 賢一さんは事件から半年後、会社をたたんだ。従業員はKさんを含め10人いたが、再就職した。舞ちゃん捜索に全力を尽くすためだ。この時点になっても、賢一さんはKさんをマークしていた。そのマークぶりはストーカー寸止めと言っても良い程で、尾行するだけに留まらず、舞ちゃん捜索の県警が作成したポスターを彼の家の目につくところに貼りつけるほどだった。

 しかし、1年が過ぎ、2年が過ぎ・・・。

 彼はKさんの顔を見るのも嫌になってマークするのも止めてしまったという。


■意外な盲点

 
 この事件が不気味、と言われるのは、偏に安全なはずの家から真夜中に子どもがいなくなったしまったことに尽きる。テレ朝の「テレビのチカラ」でも重視され、採りあげられた。

 また、犯行動機が不明という点もある。

 なぜ川の字に寝ている子どもをわざわざ危険を冒してまで連れ去ったのだろうか?

 ・・・しかしここに盲点があると私は思う。

 祖父母とKさん、大の大人が3人もいない。しかも両親と一緒に舞ちゃんは寝ておらず、仲良しの子どもと一緒、ということは、連れ去るにはカッコウのチャンスだったのではないか。しかも子どもの眠りは深い。物音は大人以上に気づきにくい。家のメンバーの動きが分かっていればやってやれないことは無かったはずである。

 川の字に寝ていた部屋、鍵は掛けられるようになっていた。しかし、2人の女の子のうち、1人によると、真夜中、時間はよく分からないが、舞ちゃんは深夜、暗いところで男の人としゃべっていた、という情報もある。扉越しに言葉巧みに誘われ、舞ちゃんが鍵を開け、連れて行かれた可能性は否定できない。

 更にこの家の間取りを見ると、実に特殊な造りで、玄関は1階だけでなく、2階もある。こんなところも盲点ではなかったか。1階には確かに舞ちゃんの靴はある。しかし犯人は2階から舞ちゃんを連れ去った可能性は無いのか。警察犬は2階の玄関はちゃんと捜索したのだろうか?

 また、気になるのはKさんの発言である。

 テレ朝系の「テレビのチカラ」で、彼は

 「時が来たら真実を話します」

と意味深なことを仰せだった。彼が真相の口を開く日は何時なのだろうか?

 時効は残念だが平成18(2006)年7月24日にもう成立しているが、もしご存じの方がいたら、待っているご家族の為にも、県警にお話して欲しいと願っている。また読まれた皆さまの推理も編集して、親類にぶつけてみたいと考えている。

 果たして田村市から来た原発震災で被災して来た親類の期待に応えられたと言い切る積りは無いが、この事件、時効を迎えているとはいえ、もし続報があればまたお伝えしたいと思う。もうこれ以上、こんな不気味な事件は起きて欲しくない、その共通の願いにほんの少しでも近づく為に・・・。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

(了)
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