沖縄県名護市の大浦湾で起きた輸送船の座礁事故で、救出されたセントラル警備保障(CSP)の警備員12人全員が、その後辺野古新基地建設の海上警備に従事させられていたことが17日、関係者の話で分かった。「病院に行きたい」と訴えた人もいたが、会社側が認めなかった。後日8人が病院に行き、うち6人が頸椎(けいつい)捻挫などのけがをしていたことが判明した。
事故は14日午後5時半ごろに通報があった。救出された警備員は米軍キャンプ・シュワブや汀間漁港で中城海上保安部の事情聴取を受けたが、事故から4〜5時間後には配置に就き、通常通り翌朝まで勤務したという。警備員は事故で船体に体をぶつけるなどしていたが、会社側は体調を確認しただけで、病院には行かせなかった。
勤務が終わった15日、中城海上保安部によると7人が病院に行き、うち5人が頸椎捻挫、脊椎捻挫などで最長全治2週間と診断された。17日にもさらに1人のけがが判明した。
CSPの警備現場はほぼ全員、契約社員が受け持っている。警備員の1人は「責任者の社員はその日のうちに現場に顔も見せなかったと聞く。本来なら事故に遭った全員に診察を受けさせるべきだ」と批判した。
けがをした警備員をそのまま勤務させたことが適切だったか、本紙が尋ねたのに対し、CSPと発注者の沖縄防衛局は回答しなかった。(編集委員・阿部岳、社会部・城間陽介)
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