米軍普天間飛行場の危険性を放置する無責任な答弁というほかない。
安倍晋三首相の施政方針演説などに対する衆参代表質問が22〜24日まで行われた。
普天間の危険性除去について「辺野古移設に向け、着実に工事を進めることこそが、普天間の一日も早い全面返還を実現し、危険性の除去につながる」などと答弁した。
政府は昨年12月、工期が約12年に大幅に延びることを発表している。総工費も約9300億円と膨張する一方だ。
いつ完成するともしれない新基地に固執するのは、安倍首相がいう一日も早い普天間の危険性除去と矛盾し、県民を愚(ぐ)弄(ろう)するものだ。
普天間の全面返還は新基地建設を前提としている。新基地建設のめどが大幅に延びているのに普天間の一日も早い危険性除去とは言葉遊びだ。
しかも計画は政府の見立てであり、軟弱地盤の存在を考えれば、その通りに進むかどうかは極めて不透明だ。
沖縄国際大学にCH53D大型輸送ヘリが墜落・炎上、オスプレイが名護市安部の沿岸に墜落・大破、東村の民間地に大型輸送ヘリが不時着・炎上、普天間第二小学校グラウンドに窓枠が落下し、緑ヶ丘保育園には円筒が落ちた。すべて普天間所属機だ。
次の事故を座して待つわけにはいかない。政府は新基地とは別の道を探り、普天間の危険性除去の方策を早急に打ち出すべきだ。新基地建設の強行は県民の生命と財産をないがしろにするものであり、責任の放棄である。
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安倍首相には説明責任を果たす誠実さが感じられない。
桜を見る会を巡っては存在しないと言っていた関連文書が見つかっている。探せばもっと出てくる可能性があるが、名簿の再調査を拒否した。預託商法などが問題視された「ジャパンライフ」元会長が首相の推薦枠で招待された疑惑も「個人情報のため回答を差し控えている」などとの答弁に終始した。
前日の夕食会費の見積書提出を求められると「営業の秘密に関わるので応じかねるとのことだった」とホテル側に責任転嫁した。率先して真相究明に乗り出さない限り、疑惑が消えることはない。
元内閣府副大臣が逮捕されたIR汚職事件も、公職選挙法違反容疑がかけられている2閣僚の辞任も「捜査中」を理由に答えなかった。IR事業は既定方針通り進め、閣僚に説明させるとも言明しなかった。納得ができない。
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立憲民主党と国民民主党が開会前に合流できなかったことが安倍首相のおごりに拍車を掛けていよう。
合流は昨年12月、立民の枝野幸男代表が国民、社民両党党首らとの会談で、社民を含む統一会派内の合流として提案。立民は存続政党や党名を立民とする案を提示した。国民は衆院で早期合流の声が上がったが、玉木雄一郎代表らは事実上吸収合併になるとして、結局合意できなかった。
巨大与党に対抗するためには野党が大きな固まりをつくることが必要だ。主要政策で一致する政党連合づくりの検討を始めるべきではないか。
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