【東京】安倍晋三首相は20日に開会した通常国会の衆参本会議で施政方針演説した。沖縄の基地負担軽減に取り組むとしたが、米軍普天間飛行場の返還と、政府方針の名護市辺野古への移設には触れなかった。第2次安倍政権後、首相の施政方針演説は8度目で、普天間返還に言及しないのは初めて。従来は「早期に」「一日も早い」普天間の返還・移設を訴えていた。軟弱地盤改良で新基地の完成が2030年代半ば以降と防衛省が事実上認める中、普天間問題への説明を避けた形だ。
首相は「日米同盟は今、かつてなく強固なものとなっている。その深い信頼関係の下に、2020年代前半の海兵隊のグアム移転に向け、施設整備などの取り組みを進める」と強調。「抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に、一つ一つ結果を出していく」と述べた。
基地負担軽減に取り組む姿勢は示したものの、普天間と辺野古については直接的に言及しなかった。
過去の施政方針演説では「辺野古移設を進め、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現する」(19年1月)などと表明してきた。
第2次政権後、安倍首相が、臨時国会など当面の政治課題について基本姿勢を説明する所信表明演説で、普天間返還・移設について触れなかったことは4度あるが、内政、外交全般にわたり見解を明らかにする施政方針演説で言及しなかったのは初めて。
今回の演説で沖縄に関する部分は他に、「首里城の一日も早い復元に向け、全力を尽くす」と述べ、焼失した首里城の再建に意欲を示した。
那覇空港第2滑走路が3月に運用が始まることに触れ、「発着枠を10万回以上拡大することにより、アジアのゲートウェーとして、沖縄の振興に取り組む」と決意を示した。
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