mixiユーザー(id:5875012)

2018年12月13日22:34

81 view

ドゥーチュィムニー「「ジャーナリストはアクティビストじゃない」沖縄県知事選挙を前に、堀潤が思うこと」

 翁長知事の死去に伴い、今月30日に投開票されることになった沖縄県知事選挙。大きな争点は、在日米軍の普天間基地移設問題、そして沖縄の経済振興策だ。この二つの問題の間で揺れ続ける人々を取材してきた8bit News主宰の堀潤氏は、選挙公示を前に何を思うのか。

***
 8月31日、沖縄県が辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認を撤回したまさにその日に僕は辺野古にいて、地元の人たちに話を聞いていた。

 色々なケースがあった。辺野古での基地建設に伴い設定された臨時制限区域の全漁業権を放棄した地元の名護漁協。ある漁師の男性は船を手放し、保証金をもらい、他の仕事を探すことにしたという。すると今度は建設がストップした。保証がなくなったら何をして働くのか。船を買い戻すのか。どうするのか。港の神社に、息子の病気平癒の願掛けに行くおばあちゃんは、治療費を保証金で賄うことを前提にしていた。撤回になったらどうするのか。

 「ベトナム戦争の頃、地元のスーパーでは米兵がダンボール箱に入りきれないくらい物を買って、お金を使い切って戦地に向かっていた。何も無かった街に基地が移ってくれば、米軍の消費できっと潤う。でも、荒くれ者が来るのは嫌。外出のルールは厳しくなったけど、不安はある」。そう話してくれた人もいた。

 一方、港のすぐ脇の砂浜には反対派のテント村があり、連続で5248日座り込みしていると看板が掲げられていた。僕が訪ねた時には午後4時を超えて誰もいなかったが、別の場所で出会った女性にテント村を尋ねたというと僕の腕を掴んで、すがるように「堀さん、絶対反対と発信してくださいと」言ってきた。県内の別の地域出身の男性は「日本人として、基地の代わりに経済的な援助を求める沖縄の姿が我慢ならないんです。税金は災害復興のために役立ててください。いまも仮設住宅のひとがたくさんいます」と明かした。

 湾内は港を境に賛成派と反対派に割れて、お互いに挨拶もできない状態になったという。居酒屋に行っても賛成派が飲んでいれば反対派は去る。それでも仲井真県知事が承認し、ようやく大方針が決まったことで、表向きはわだかまりが少しずつ解けていったと振り返る地元の人もいる。

もうこの問題を話し合って20年以上。ある漁業関係者が教えてくれたが、まさにみんなの意見は「一言では言えない」状態。「オール沖縄」だって、何“がオール“かといえば、辺野古移設の反対という点であって、「基地は絶対にいらない」人もいれば、「絶対いるけど、辺野古にはいらない」人など、様々なバリエーションがある。

 翌日、青年会議所に呼ばれ、”分断を産まないコミュニケーション“について話をした。「青年会議所は右寄りだ」という人もいるが、そうとも言えない複雑な立場ではある。僕よりも若い30代の経営者の方は「基地に賛成・反対で議論するのではなく、今の状況を一旦受け入れた上で、どう課題を解消し、発展できるのかを議論したいんです」と言った。

 極論でコミュニケーションが分断し、イデオロギー闘争になるのが嫌だ、前進のためのアイデアを議論したい。でも、そういう場がない。メデイア環境を見てみても、”絶対反対”の県紙2紙、そして対立する八重山日報があるという状況。ネットの議論を覗くと過激で排他的な意見が目に止まる。『政治家は「基地反対」と言えば当選する。利害関係のない県外の人に県知事になってもらいたい』と語る市議経験者の声を聞いたことがある。結局は自分の関係者が潤うようなことをしていないだろうか、という不信感からだ。僕は高江にしても辺野古にしても反対という立場だけれど、それでも呼ばれたのは、誰かが作った設定に乗った議論で分断するより、何かを提示していきたいという彼らの思いからだった。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年12月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031