ラッケルバード。崖の部分に巣を作る体長二十センチの鳥。
性格はおっとりしているが、卵を集団で守るため一つの大きな巣に住んでいる。
羽に毒を持ち触れるものを毒状態にしてから一斉に突く。
卵は見た目とは裏腹に、一つ五キロの重さを持つ。
高難易度だがサートリの魔量なら比較的簡単だろう。
徒歩で山を登る。二人は無言だった。
(村を出たらサートリと魔量の差で離れなけばいけないかもしれなくなる・・・そんなの嫌だ・・・!)
この村に居ればとドラッヘは心が蝕まれるようにつぶやく。
その後ろを魔量が漏れないようサートリはついていく。何の疑問も持たず当たり前のように。
〜山の頂上、崖エリア〜
空を飛び交うラッケルバード達に見つからない様木と草の陰に隠れる。
まだ見つかっていないので、近づけれるだけ近づく。
「ラッケルバード達、いっぱいいるね」
ドラッヘはそう言うと、様子をうかがっている。
サートリの魔量を使えば簡単だが、あまり使わせたくないようだ。
「ドラッヘ、水の、膜、張る」
サートリは左腕を伸ばそうとした。すると、
「ダメだ!!」
「ドラッヘ・・・!?」
ドラッヘの突然の大声でラッケルバード達が群れでやってくる。
「水膜!」
サートリが水の膜を張り接近を防ぐ。
くちばしや体がぶつかる衝突音が響く。
ぶつかるたび魔量が削られてゆく。
「ドラッヘ、卵、を・・・!」
ドラッヘは茫然として動かない。
小さく何かをつぶやいているが、サートリには届かない。
「ドラッヘ!」
サートリの声で元に戻ったドラッヘは卵を拾うと、
「サートリごめん!行こう!」
2人はその場から走り出す。ラッケルバード達は追随してくるが、水膜にはじかれやがて諦め帰って行った・・・
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