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2021年01月31日23:04

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脳の損傷 目に見えぬ障害 和田敏子(1)ケアセンターふらっと高次脳機能障害相談員

脳の損傷 目に見えぬ障害
和田敏子(1)ケアセンターふらっと高次脳機能障害相談員
コラム 医療・健康
2021/1/31 2:00日本経済新聞 電子版
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リハビリの一環として行うスタッフと高次脳機能障害患者の利用者とのおしゃべり会(東京・世田谷のケアセンターふらっと)
リハビリの一環として行うスタッフと高次脳機能障害患者の利用者とのおしゃべり会(東京・世田谷のケアセンターふらっと)

1996年、世田谷区に高次脳機能障害の患者さんを中心としたケア施設が立ち上がった。当時日本では「高次脳機能障害全国調査」が始まったばかりで、まだ「見た目ではわからない制度の狭間の障害」と言われて一般の認知度も低いものだった。

和田敏子さん
和田敏子さん

高次脳機能障害は、事故などによる頭部外傷のほか、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脳腫瘍、低酸素脳症、もやもや病、脳炎、エイズ脳症などの疾患、さらには軽度外傷性脳損傷、薬物依存などさまざまな要因で脳が損傷を受け、その後遺症として出現する。年齢には関係なく、子どもにも起こる。

脳のどの部分の損傷かによって症状は様々だ。運動機能が損なわれれば、歩行を含め身体に障害が残る。言葉をつかさどる脳の「言語野」が傷つくと「失語症」が現れ、記憶に関係する部位の場合、記憶障害が起こる。

家族のことや発症以前のことは覚えているのに、病室に戻れなかったり、話したばかりのことを忘れてしまったりする。失行や失認、注意や感情を制御できない、など目に見えない脳のトラブルは多岐にわたる。

当初集まったスタッフのほとんどは、高次脳機能障害について熟知していなかったので、嘱託医である長谷川幹医師(現三軒茶屋内科リハビリテーションクリニック院長)のサポートが強力な支えとなった。「今からみんなで高次脳機能障害を勉強するぞ!」という掛け声の下、取り組みが始まった。長谷川医師は当事者家族でもあり、経験に裏打ちされた言葉は、利用者たちを大いに勇気づけた。

高次脳機能障害に見舞われた人は、これまでの自分と違うことに驚き、恐怖に襲われ、失意の底に落ちる。しかし、地域で同じ体験をした仲間と出会い、あきらめずに毎日リハビリを積み重ねる事で、"新たな回路"が開かれる。

脳梗塞に倒れた免疫学者の多田富雄氏は「叫んでも声は出ず、訴えようとしても言葉にならない恐怖」(全詩集「歌占」)と切実に書いている。

わだ・としこ 渋谷区立心身障害者福祉センターを経て1996年から社会福祉法人世田谷ボランティア協会勤務。「身体障害者デイサービスふらっと」設立にかかわり、現在同施設で高次脳機能障害相談員。共著に「高次脳機能障害とデイサービス 地域ですすめるあきらめない回復支援」。
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