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2020年07月16日14:32

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カナダ産の丸太、輸入できず 初のTPP不履行か

カナダ産の丸太、輸入できず 初のTPP不履行か
経済
2020/7/15 22:00 (2020/7/16 5:58更新)日本経済新聞 電子版
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国内メーカーは米国産丸太に切り替えつつある(広島県呉市の中国木材)
国内メーカーは米国産丸太に切り替えつつある(広島県呉市の中国木材)

環太平洋経済連携協定(TPP)で増やすはずだったカナダからの丸太輸入が逆に急減している。カナダ側は2国間の取り決めを記した交換公文(サイドレター)に「日本向け輸出を許可する」と明記したが、2020年4月の入荷はゼロ。現地企業のストライキなどの影響が出たもようだが、農林水産省や関係者は事態を重くみている。

日本は木材の6割強を輸入に頼る。林野庁によると、合板などに使う丸太の輸入数量(19年)はカナダからが28%を占め、米国の50%に次いで多い。輸入丸太は国産材と組み合わせる合板づくりに欠かせず、強度を保つのに役立つ。輸入を増やせれば、国内製材業や林業の振興につながる。

TPPは18年12月に発効した。農産品や工業品、資材などの関税率は参加11カ国で共通して適用するほか、個別の品目に関して2国間で取り決めたものがある。

日本とカナダは輸入合板の関税引き下げを認めることにしたが、丸太を加工した合板の輸入が大幅に増えると、国産材の利用促進につながらない。このため、サイドレターでは丸太について「手続きに従った日本向けの丸太輸出について、申請を受けた場合は許可証を発給する」と明記した。

カナダは国内に買い手がない場合に輸出を認める許可制を導入しており、TPPでは一歩踏み込み、日本側が安定調達できる仕組みを整えた。


輸入減は統計に表れている。日本木材輸入協会(東京・江東)によると、カナダ産の丸太は今年1〜5月の累計で9万7380立方メートルと前年同期比77%減。4月はゼロで、5月も6493立方メートルと前年同月の5%にすぎない。木材大手のストライキなどで昨年から丸太の供給量は減少。カナダ国内の需要を賄えず、輸出に回せなかったとみられる。ただ、日本が求める輸出を認めなければ、初のTPP違反となる恐れがある。

カナダの企業からすると、輸出向けのほうが価格が高く、輸出許可が出ないと採算が悪化する。カナダの木材輸出大手、モザイクフォレストマネジメント社は19年11月から操業を停止。現在は規模を縮小して営業する。

大手合板メーカー、セイホク(東京・文京)の井上篤博社長は「カナダからの輸入が滞れば、国産材の利用も阻害されかねない」と懸念。農林水産省も実態調査に乗り出し、許可を出さない明確な理由がない場合、カナダ側に公式に問題提起することも視野に入れる。


輸入縮小を受け、商社や国内メーカーは米国産丸太に切り替えるなどの手を打ちつつある。だが、カナダ産は米国産より質が高いとされ、代替の調達先を見つけるのは容易でないという。

日本政府はTPPのほか、欧州連合(EU)や米国と相次ぎ貿易協定を結んだ。TPP交渉に関わった政府関係者は「今後、協定内容が適切に履行されないケースが出る可能性がある」とみる。取り決めた後の監視も政府の重要な任務だ。
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