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2020年02月26日22:41

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教育をデータで斬る(8) AI先生の難しさ

教育をデータで斬る(8) AI先生の難しさ
エール大学助教授 成田悠輔
やさしい経済学 コラム(経済・金融)
2020/2/26 2:00日本経済新聞 電子版

正しい教育を人間の代わりに選ぶ「教育機械」を作って、教育について思い悩まずに済む世界を実現できないでしょうか。

教育機械の先駆者は「シンギュラリティは近い」の著者として知られる米国の発明家レイ・カーツワイルです。カーツワイルは自身が学生だった1970年ころ、高校生がどの大学を受けるべきかを決める際に手助けするアルゴリズムを開発していました。

半世紀たった現在。人工知能(AI)ブームに乗って教育機械はいっそう注目されるようになっています。中国や米国を中心に関連する新興企業は雨後のたけのこ状態です。授業のみならず、生徒の個性に合った学校の発見、カリキュラムの設計、イジメの発見などをAIが担うという触れ込みです。

しかし、今のところ期待よりも歩みは遅く、大規模な社会実装には至っていないようです。皆さんも「AI先生のツボを押さえた指導は完璧で、イジメもすぐに見つかるようになった」などというバラ色の話は聞いたことがないでしょう。

なぜ教育AIの成長が遅いのでしょうか。重要なのは、現在のAIにはたくさんのデータが必要だという点です。にもかかわらず、教育現場がアナログで人間に依存しすぎているため、データがたまりません。

データから導かれた「やるべき教育」を実行するのも人間ですが、人間はやるべき教育をやり忘れたり無視したりしがちです。要は教育のあらゆる場面に人間が居座っており、機械が活躍する機会を奪っているのです。

さらに根本的な問題もあります。今のAIを使うには人間が目的を設定する必要があります。では、いったい何が教育の目的なのでしょうか。この連載でも、成績・収入・偉人録掲載など様々な目的を挙げてきました。しかし、何が教育の真の目的なのかと問われると「どれもピンとこない」というのが正直な答えでしょう。

幸か不幸か、人間の代わりに目的を設定してくれるAIは開発されていません。教育を機械に任せられるのはまだまだ先のことになりそうです。
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