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2019年12月09日19:04

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教員免許更新制10年 資質の向上、乏しい効果

教員免許更新制10年 資質の向上、乏しい効果
12/9(月) 5:55配信神戸新聞NEXT

教員免許の更新に必要な講習を受ける教員ら=神戸市中央区磯辺通2、三宮コンベンションセンター
 かつては一度取得すれば終身有効だった教員免許に、10年に1度の「更新制」が導入されてから10年が過ぎた。目的は教員としての資質を高めることにあったが、導入以降も体罰やわいせつ行為などで懲戒処分を受ける教員数は高止まりし、大きな変化は見られない。神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題でも教員の質が問われる中、専門家からは効果を疑問視する声が出ている。(堀内達成)

【表】懲戒処分を受けた全国の教員数

 教員免許更新制は「教育再生」を掲げる第1次安倍政権の下で導入が決まり、2009年度に始まった。背景には教員の指導力不足や全国の高校で発覚した必修科目の未履修問題など、教育現場に対する批判の高まりがあった。

■講習30時間以上

 文部科学省によると、17年度末までに全国で約74万人が更新を迎え、このうち失効したのは約千人。兵庫では3万2414人で、41人が失効した。質の保持や向上が狙いではあるが、同省は「不適格教員の排除が目的ではない」とも。失効割合は全国、兵庫とも0・1%程度となっている。

 兵庫県教育委員会によると、失効理由は退職時期が近くあえて更新しなかったケースが8割。残りは更新に必要な講習の受講を忘れるなどのミスだった。

 では、求められる質の向上をどう実現するのか。その柱となるのが、更新時に定められている30時間以上の講習だ。期限を迎える直前の2年間に、それぞれ教職課程のある大学などで受講する必要がある。

 内容としては、国の教育施策などを学ぶ「必修」や、免許状や勤務する学校の種類に応じた「選択必修」などに分かれるが、重点は近年の教育課題や教科指導に置かれがち。コンプライアンスなどに関する講習は乏しい上、基本的には受講さえすれば更新できる。多忙な教員にとっては負担の大きさも課題とされる。

 県内の中学校に勤める50代の男性教員は、4年ほど前に夏休み期間などを利用して受講。人権問題など興味のあるテーマを選び、姫路市内の大学や通信制で学んだ。費用は自己負担で約3万円。「ためになる授業もあったが、知っていることも多く、質の向上につながったかは分からない」と振り返る。

■コンプライアンス

 一方、文科省のまとめでは、更新制導入前の08年度に懲戒処分を受けた公立学校の教員数は全国で1059人(免職は182人)、兵庫では神戸市教委分も含め39人(同6人)。以降も年度によってばらつきはあるが、17年度まで全国では777〜1162人、兵庫では22〜55人で推移し、必ずしも教員の質が高まったとは言い難い結果となっている。

 処分理由は例年、体罰とわいせつ行為が合わせて3〜5割程度を占める。同省はこうした現状について「コンプライアンス研修の充実などで対応していきたい」としている。

■教員免許更新制に詳しい池田賢市・中央大教授の話

 教員の資質を培うには、職員室でのコミュニケーションが必要だ。勤務する学校の児童や生徒についてしっかり議論すれば、課題が具体化する。その話し合いを通じて、子どもとの関わり方や解決方法を学ぶことが質の向上につながるのではないか。一方、毎年のようにミスで失効者が出てしまうのは制度設計上の問題。仕組みが複雑で、学校の管理職も把握できていない。

【教員免許更新制】制度導入以前に交付された免許は「旧免許状」と呼ばれ、各教員の生年月日に応じ、2010年度末〜19年度末の間に最初の更新期限が割り振られた。以降の更新は10年に1度。一方、制度導入後の免許は「新免許状」で、当初から10年の有効期限が定められている。更新には30時間以上の講習が必要で、受講後に修了証明書が発行される。仮に免許が失効した場合でも過去に取得した教職課程の単位は有効で、講習を受講・修了し、各教育委員会への申請などを行えば再び免許を取得できる。
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