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日記一覧

小説 サングラス (姉妹)30「ほら、やっぱりわたしをからかってる〜」 池谷美穂は軽くこぶしを握って、酒匂をぶつ真似をし、時計を見た、そろそろ開店準備をせねばならない。大急ぎでテーブルを拭き,外回りを点検して、入り口に「商い中」の札を掲げた

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小説 サングラス (姉妹)29 女とは不思議な生き物だ。ずっと尚美と比べられ、いつも容姿が劣っていると笑われて来たわたし。尚美には勝てないことを解り過ぎるほど解っている。姉妹でこうも違うのかと驚かられることも多かった。 悔しいけど、それは認

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小説 サングラス (姉妹)28「そう言えばマスター、昨日は佐々木さん、上手に合流できたのですか?」「佐々木さん、さすがだよ。ごく自然に顔を出したし、遠慮しながら近づいて来たからね。女性を撮り慣れているから接し方がうまい」「それなんですけど・

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小説 サングラス (姉妹)27 美穂はふと思った。尚美がマスターへの関心を佐々木さんへ向けてくれるのは正直嬉しい。しかし、わたしは佐々木さんを良く知らない。県庁マンとは言え男性なのだ。マスターが言っていたことだが、男性はあわよくばの期待があ

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小説 サングラス (姉妹)26「東京どうだった?」「どうって・・何か意図があって連れ出されたようだったわよ。母さん、わたしを連れ出すだけが目的だったみたい・・・」 帰りを待ちかねていたように顔を出した尚子に、美穂はそっけなく答えた。単なるカ

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小説 サングラス (姉妹)25 パソコンの画面は、すぐに検索結果を表示した。予想外にたくさんのサイトがある。無料と書かれているが本当に無料なのだろうか?不安だ。同時になぜか身体の奥に熱いうずきを感じる。 秘かな期待と不安。最近は女性用のAVも

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小説 サングラス (姉妹)24「もったいないと思ってだよ。マスターが何とかしてやらんといかんわ。ダイヤの原石を磨かんでどうすっとよ」「あぁ驚いた。小杉さんがスケベすると思いましたよ」「マスターんとこの従業員に手出したら出入禁止されるよ。それ

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小説 サングラス (姉妹)23 わたしはいつからか気づいていた。マスターもまたわたしに好意を持っている。可愛い不器用さに、わたしは魅かれたのかも知れない。一番はコーヒーで2番は仕事。どんなに頑張っても、わたしは3番にしか慣れなさそうだったが、

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小説 サングラス (姉妹)22 母から待機を命じられたまま、ホテルで過ごす尚美は鬱屈していた。ひょっとしたら、尚美が母に頼んだ陰謀ではないかとさえ思ってしまう。尚美はわたしがマスターと一緒にいる姿をみたくないのだろう。それならそう言ってくれ

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小説 サングラス (姉妹)21「尚美さん、噂以上の美人ですねぇ・・。マスターから話しは聞いていましたけど、まさかこれほどの美人とは思っていませんでした。今日はデートですか?」 酒匂は佐々木の声掛けを聴きながら「なかなかの役者だ」と吹き出しそ

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小説 サングラス (姉妹)20 母は本当にわたしが必要だったのかしら?尚美はホテル内のカフェでコーヒーを飲みながら思う。東京へ着いてすぐに、母は秘書と一緒にどこかへ出かけた。わたしはいつ電話が入っても良いように待機を命じられた。 午前10時。

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小説 サングラス (姉妹)19 酒匂が電話してくることを、尚美は知っていた。彼のやきもちで、携帯の番号を教えることは出来なかったが、姉の雇い主だから自宅の番号を当然知っている。固定電話にかけて来る。そう思って姉の部屋にいた。 美穂にまず電話

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小説 サングラス (姉妹)18 酒匂がメールに気付いたのは寝る前だった。その日は和太鼓を習っている主婦グループが遅くまで残り、カウンターには常連の歯科衛生士や小杉さんが残って午前0時まで店を開けていた。アルバイトの結城ちゃんは定時で帰したの

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小説 サングラス (姉妹)17 酒匂から尚美を撮影するので手伝ってと言われてから5日経った。その間、何度も尚美と顔を合わせたが尚美は一言も撮影の話しをしなかった。わたしが撮影を手伝うことは知っているはずなのにと、少しいぶかしんだが美穂は気に

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小説 サングラス (姉妹)16 尚美は意外な反応をした。尚美は決して良くは言わないだろう。表情やポーズなどにケチをつけ、一瞥しただけで無関心な顔をするに違いない。だけど、それは内心の動揺を隠すものだ。わたしはそう思っていた。その一瞬でも、わ

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小説 サングラス (姉妹)15 結局美穂は、酒匂の助手を引き受けた。その夜に尚美が部屋に来て尚美からも頼まれたのだ。「次の火曜日、お姉ちゃん、撮影の手伝いをしてよ」「マスターから聞いたは。でも貴女,学校は?授業がないの?」「先生、その日有給

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小説 サングラス (姉妹)14「美穂ちゃん、次の定休日だけど、撮影手伝ってくれない?」「いいですよ。誰を撮るんですか?」「この前、尚美ちゃんに撮影頼まれたっていったじゃん。断ったんだけど、どうしてもって聞かないんだよ」 やっぱりと美穂は思っ

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小説 サングラス (姉妹)13  マスターの店でバイトを始めてから、美穂は本来の自分を取り戻した気分だった。学生時代はいろんなことに興味を持ち、積極的に活動していたのだが、付き合っていた彼が、気がつけば妹の尚美と肉体関係を持ち、妊娠させてい

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小説 サングラス (姉妹)12  公園の橋の上で出会った老カメラマンが、自家焙煎珈琲店のマスターであることを、池谷美穂は数日後に知ることになる。たまたま見ていたケーブルテレビの取材を受けていたのだ。 放送は街の話題を取り上げたもので、美味し

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小説 サングラス (姉妹)11  バイトを内木場君に引き継ぎ、美穂は夜8時には父親の会社へいた。家業は代々続く地方の総合卸問屋だ。酒や米だけでなく、駄菓子や雑貨まで営む。弟の信一郎が後継者で父の秘書をやりながら経営を学んでいる。長女の美穂は

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小説 サングラス (姉妹)10 「昨日尚美ちゃんに会ったよ」「妹を知っていたんですか?」「いや会ったのは偶然。昨日菅沼君の店に行った時にね。たまたま話した女性が尚美ちゃん。話してるうちに美穂ちゃんの妹だってことが解った」「美人でしょう?わた

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小説 サングラス (姉妹)9  翌朝、尚美と美穂は洗面台の前で顔を合わせた。だが目礼しただけで口は聞かなかった。美穂は妹の尚美が午前3時前に帰宅した事を知っていたが、特には言うことも無い。尚美の朝帰りはいつもの事だったし、夜に電話が来て出て

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小説 サングラス (姉妹)8 「あ、今おっぱい触った。乳首触った・・」 これが今時の若い娘なのだろうか?それとも子供の時からちやほやされた、尚美だけが持つ男のあしらいだろうか?酒匂にはわからなかった。サングラスをかけている時なら、理解などし

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小説 サングラス (姉妹)7 「マスターの眉・・漫画みたい・・」「良く言われるよ。太いマジックで線をひただけって・・そんなことよりさぁ・・男と女が夜に密室にいるんだぜ・・もうちょっと色っぽい話題にならないもんかねぇ・・」「お姉ちゃん、マスタ

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小説 サングラス (姉妹)6 「お店の中でもサングラスかけるの?」 カウンターに来る前に興味深く店内を見回しながら尚美が言う。「お姉ちゃんから聞いていない?サングラスかけていない俺は無口で、無愛想だと」「聞いてる聞いてる。カメラが無いと落ち

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小説 サングラス (姉妹)5  その日の夜、酒匂俊一は池谷尚美へ電話した。シャワーを浴びた後、上半身裸のままでわざわざサングラスをかけて・・ 酒匂には妙な癖がある。サングラスをかけていないと、商売柄か、ほとんど自分を押し出さない。相手を気遣

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小説 サングラス・(姉妹)4 「あの・・すみません・・」 テラス席へ出て来たカップルの女性が遠慮がちに声をかけて来た。酒匂俊一を見ている。「ひょっとしたら、カフェ・コッコのマスターでは無いですか?」「そうだけど・・どこかで会たっけ?申し訳な

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小説 サングラス (姉妹)3  菅沼の後ろに若いカップルが続いていた。食後のデザートをテラス席でと希望したようだ。カップルの後ろには、トレイへ乗せたアイスクリームを手にしたウエイトレスが続いている。 菅沼は海側の席へ行くよう誘導し、酒匂俊一

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小説 サングラス (姉妹) 2 日常の光景を人々はあまり気に留めない。少し先でネズミ捕りがされていて、多くの車が呼びこまれていたが、たいていは無茶にスピードを出していないので、ネズミ捕りに気づき、ちょっと驚きはしたが、自分が捕まらなかったこ

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小説 サングラス(姉妹)1 ある田舎町の昼下がり、片側2車線の割と広い交差点の信号が黄色に変わった。高齢者マークを貼った白のパジェロミニは、信号がすぐに赤になることを見越して早めに速度を落としていた。軽く何度かブレーキを踏むことで、後続の車

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