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mixiユーザー(id:57559642)

日記一覧

小説 木の芽流し 34
2017年05月30日10:13

木の芽流し 34 雨がひどくなって来た。温暖化のせいだろうか?南国のスコールみたいな大粒の雨が、音を立てて落ちて来る。「木の芽流し・・」 窓の外を白いカーテンに換えた雨を見ながら俺がつぶやく。正夫が不思議そうな顔をする。「木の芽流しって言い

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小説 木の芽流し 33
2017年05月29日08:02

木の芽流し 33 美鈴の学校での成績は上位にはあったがトップでは無かった。俺は学校の成績など理解さえしていれば良いと言う考えで、たまに頑張って順位を上げたり、さぼって下げたりしても叱った事は無い。いつも友達と行動している美鈴を頼もしく見守っ

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小説 木の芽流し 32
2017年05月28日10:50

木の芽流し 32「そう言えば美鈴さんはめったに家族の話しをしないんですが、就職時の面接で、ちょっとだけ両親の離婚に触れたことがあります。美鈴さんのお姉さんが亡くなられた後、夫婦仲が眼に見えて悪くなったとか・・」 やっぱりそのことは避けられな

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小説 木の芽流し 31
2017年05月27日10:42

木の芽流し 31 本能とはすごいものだと俺は思う。子供を造ると言う行為は、初めての体験であってもそれなりに目的を果たせる。それなりに快感をも得る。産まれた赤子が奇妙な動物に見えても、手を指しのべられると握り返し、日に日に表情を変えて行くこと

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小説 木の芽流し 30
2017年05月26日10:12

木の芽流し 30「黒木さんのことを聞いた時・・正直に言うと黒木さんが千晶だったらと妄想しましたよ。そんな小説みたいなことがあるはずないのですが、なぜか千晶とダブって・・」黒木正夫の眼が妖しく光ったように思えた。「それでわかりました・・マスタ

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小説 木の芽流し 29
2017年05月25日10:36

木の芽流し 29 黒木が語る言葉を、俺は千晶と重ねながら聞いた。親の都合で女の子として育てられ、信じて疑わずに生きて来たのだ。実は男の子なんだよと言われたらどんな気持ちになるのだろう? 遊びも服装も行動も大きく変化させねばならない。驚きと戸

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小説 木の芽流し 28
2017年05月24日08:34

木の芽流し 28「あ、そう言えば・・」 雨が本降りになる前にと黒木正夫が腰をあげ、玄関で、思い出したかのように言った。「マヤが子供を欲しがっています。マスターとの子供だったら私も安心です。協力してもらえませんか?」 マヤでなく、黒木正夫の口

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小説 木の芽流し 27
2017年05月23日09:33

木の芽流し 27 ひょっとしたら美鈴は俺を守ろうとしたのかも知れない。わたしのことは心配ないのよ。お母さんの面倒はわたしが見るから・・あの言葉は俺への拒否では無く、俺が女房を憎む前に距離を取らせようとした配慮かもしれない。 時間は記憶の積み

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小説 木の芽流し 26
2017年05月22日10:12

木の芽流し 26「美鈴ではなく、女房ですか?」「美鈴さんを辞めさせろと電話があったのですよ」「美鈴が辞表を出したのでなく?」「えぇ、美鈴さんに確かめると、美鈴さんも知らなかったらしく驚いてました」 美鈴と女房に昨日の昼過ぎ会ったばかりだ。電

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小説 木の芽流し 25
2017年05月21日08:44

木の芽流し 25 新聞配達を終えて帰宅する時、腕時計をしない俺は携帯電話で時間を確かめる。散歩をかねて近場の川まで歩き、川霧と朝焼けを時々撮っていた。以前は雲海を狙って高崎町まで車を走らせたりしていたのだが、最近は健康のために散歩を兼ねた近

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小説 木の芽流し 24
2017年05月20日10:15

木の芽流し 24「マスターの奥さん・・わたし初めて会ったのだけど、なぜか怖い感じね。ニコニコしてたけど、何て言うのかなぁ・・眼がすごく冷たかった・・」 マヤの言葉で現実へ引き戻される。「そう?離婚したはずなのに仲が良いなって思わなかった?」

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小説 木の芽流し 23
2017年05月19日08:43

木の芽流し 23 マヤの存在に気づきながら、無視して俺に親しむふりの女房。阿吽の呼吸で同調する美鈴。ようやくそれに気づいた俺。「マヤちゃん、そろそろ帰らないといけない時間じゃない?」「マスター写真撮ってないけどいいの?」「今日は下見に来ただ

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小説 木の芽流し 22
2017年05月18日08:32

木の芽流し 22「撮らないの?」と女房は聞き、三脚を準備する。美鈴も横で撮影の準備を始める。女房は望遠ズーム、美鈴は広角レンズを使うようだ。幹に近づき下から桜を見上げている。今の時間帯に女房が撮影に来るわけないだろうから、日南市辺りの朝焼け

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小説 木の芽流し 21
2017年05月17日11:05

木の芽流し 21 細い小路を降りて来た二人の女性カメラマンが気付いて足を止めた。偶然の再会に俺も息を飲んだ。なんと、二人は別れた女房と娘だ。女房と娘は歩くのを躊躇している。引き返したいと思っているのかも知れない。「久しぶり・・美鈴も写真始め

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小説 木の芽流し 20
2017年05月16日09:48

木の芽流し 20 椎八重公園のつつじはまだ咲いていなかった。駐車場のすぐ近くのトイレ前だけが、なぜか真っ赤な花をちらほら咲かせている。「予想どうり月末みたいね」「咲くかなぁ・・月明けかも知れないよ・・でも、ほらあそこ・・桜じゃない?ここは八

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小説 木の芽流し 19
2017年05月15日09:43

木の芽流し 19「マスターが離婚したのって60過ぎてからよね。20年?30年?よく続いたわよね。セックスを拒否されて腹が立たなかった?離婚だって出来たはずだけど・・」「離婚ねぇ・・考えもしなかったなぁ・・仕事が仕事だったから俺は家より店にい

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小説 木の芽流し 18
2017年05月14日10:22

木の芽流し 18「どうしてマスターは結婚する気になったの?子供がいらない、セックスもしないって言う女性なのに・・」 俺が女房と結婚したいきさつを聞いてマヤが言う。当然だろう。なぜ結婚したのか、正直俺にもわからない。 とにかく俺は、きっちり1

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小説 木の芽流し 17
2017年05月13日09:49

木の芽流し 17「わたしは子供が欲しくありません。だから結婚してもセックスはしません」 この女が業務命令で会わねばならない女であることは解った。しかし、社長はどういう段取りを組んだのだろう?俺に結婚する気が無いことを知っていて、無理やり合わ

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小説 木の芽流し 16
2017年05月12日10:01

木の芽流し 16 マヤに魅力がなければ・・と言うより、俺が間違えても抱かないであろう女であれば、俺はこれほど意識しないはずだ。永い客商売のせいか、俺は女性を女性としてでなく、人として、客として見る習慣がついている。好き嫌いの感情はあっても、

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小説 木の芽流し 15
2017年05月11日08:38

木の芽流し 15 翌朝マヤから電話があった。運悪く配達後の一眠りから目覚めたタイミングであったため無意識に電話を取ってしまった俺。「ごめん寝てた?」「何だマヤちゃんか」「何だってなによ」「まぁいいや。今日は撮影に行くから駄目だよ。しゃべる暇

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小説 木の芽流し 14
2017年05月10日12:18

木の芽流し 14「両親が子供を追いやったの?それはひどい・・」 黒木正代の反応に、俺は少し怒りを覚えた。正夫の性格を歪めたのはいったい誰なんだ?女の子が欲しかったと言う自分の都合で育てられた正夫の気持ちがわかっているのか?「あ、言い過ぎまし

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木の芽流し 13
2017年05月09日11:46

木の芽流し 13 千晶は男として生きて行けたのだろうか?と、どこかで気にしてきたのは、マヤが正常な男としての成長が出来なかったのではないかと、俺はずっと危惧していたのかも知れない。「お母さんもマヤちゃんも、少しおちついてください」 こんな衝

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小説 木の芽流し 12
2017年05月07日19:57

木の芽流し 12マヤの横で俺を見つめる正代。表情の険しさにたじろぐ俺。「マヤちゃんには感謝しきれないくらい感謝してるし、いつも申し訳ないと思っているのだけど・・」 正代の言葉をマヤが遮る。「いやだわ、お母さま。そんな切り出しをすると、話しが

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小説 木の芽流し 11
2017年05月06日20:46

木の芽流し 11 黒木正代は 夕食もごちそうしたいから夜に来てほしいと言ったが、俺は他人と一緒に飯を食うのを好まない。箸の持ち方やマナーを考えながら飯を食うのが嫌なのだ。飯くらいは気兼ねなく自分のスタイルを通したいと思っている。食うとは所詮

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小説 木の芽流し 10
2017年05月05日18:58

木の芽流し 10 俺が鹿児島で働きだしたのはもちろんそれだけが理由ではない。大阪で印刷工場へ勤め、3年経ってようやく仕事に慣れた頃に、「ハハシス」の電報を受け、急いで帰郷せねばならなくなったせいもある。千晶の母親が離れにガソリンを撒き火を点

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小説 木の芽流し 9
2017年05月04日20:31

木の芽流し 9 千晶が島を離れ、叔母が住む鹿児島市で暮すことになったと言うことを、翌日おふくろから聞いた。千晶の門出と別れの宴が開かれ、倉田家の親戚が集まった。千晶が男であると言ったことの真相はわからなかった。送別の宴の席で、千晶は変わらず

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小説 木の芽流し 8
2017年05月03日20:15

木の芽流し 8「女の子として育てられた・・」 所長の言葉は、初めて聞いたとしたら理解不能で、どういう意味かと問い返したかも知れない。が、俺は中学に入ったばかりの時に一度聞いている。 もちろんマヤの夫のことではない。遠い昔、俺は沖縄と鹿児島の

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小説 木の芽流し 7
2017年05月02日18:36

木の芽流し 7「黒木正夫はね」 所長は話しを続ける。「頭が良すぎてちょっといかれた奴で・・」「どういう意味ですか?」「オネエじゃないかって言われてたんだよ。女じゃなく男が好きなようで・・」「中学生でしょう?その年代なら、女性を意識しすぎて女

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小説 木の芽流し 6
2017年05月01日19:59

木の芽流し 6 電話を取ったマヤの会話を聞くともなしに聞いた。相手はどうやら店の常連であった不動産会社の社長らしい。高校球児として甲子園へ出たことがあると自慢するガタイのいいおやじだ。野太くスケベたらしい大声がテーブルを隔てた俺の耳にも聞こ

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