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mixiユーザー(id:57559642)

日記一覧

小説 紅蓮 82
2019年03月31日06:09

小説 紅蓮 82 大木さんと由紀子は、今別府さんと東さんを伴っていた。二人とも32歳の独身女性だ。小林市から週一のペースで通ってくれる常連だ。高校生の時友達になって、以来ずっと二人でつるんでいる。東さんは絵が趣味で、宮崎や鹿児島などの美展へ応

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小説 紅蓮 81
2019年03月30日06:10

小説 紅蓮 81「お母さん、そんなことまで話したの?」「うん、お父さんとお見合いする前から不倫してて、仕方なく結婚したし、妊娠が解ったので、仕方なくお父さんに抱かれたんだって」「仕方無くか・・」 思わず笑ってしまった。俺は俺で、特に嫌いだと

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小説 紅蓮 80
2019年03月29日11:09

小説 紅蓮 80「お母さんと話したことがあるのだけど・・」 俺はどう言えば美佳を傷付けずに済むだろうかと思った。子供は親の愛情を無償の愛だと本能的に知っているはずだ。しつけのために、怒ったり叱ったりするが、それは子供の将来を案じてのことだと

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小説 紅蓮 79
2019年03月28日10:47

小説 紅蓮 79「美佳は俺の子だよ。馬鹿な事言うんじゃない」 思わず美佳を引き寄せる。うかつだった。沖縄から帰った後の美佳の様子はあきらかにおかしかった。俺とも佳代子とも口を聞かず、自室から出て来なくなった。引きこもりになったのだ。当然高校

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小説 紅蓮 78
2019年03月27日06:10

小説 紅蓮 78「お父さん、わたしの血液型知ってる?」「ごめん・・知らない・・美佳が産まれた時にね、何でだったろうね、お母さんに美佳の血液型を聞いたことがある。教えてもらえなかったけど・・」「不思議だと思わなかった?」「別に。正直に言うと・

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小説 紅蓮 77
2019年03月26日05:59

小説 紅蓮 77 俺が両親と仲が悪いのと同じく、佳代子も両親との関係がうまくは行って無かったように思えた。親が干渉しすぎると、子供は反発するのかも知れない。そういう意味では、俺と佳代子は似た者夫婦であったのかも知れない。不器用な点や、頑固な

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小説 紅蓮 76
2019年03月25日05:37

小説 紅蓮 76 娘の話しでさらに事情が解った。警察から電話が来て、俺が救急搬送されたことを知った娘は、病院へ来る前に店へ寄ったらしい。ただなんとなく気になって寄ったのらしいが、俺の携帯があることに気づき、由紀子からの着信履歴がたくさん残っ

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小説 紅蓮 75
2019年03月24日06:01

小説 紅蓮 75 俺を覗き込んでいるお巡りさんの顔があった。何かしゃべっている。顔がはっきりとわかり、背景がうっすらと白んでいる。夢?俺は夢を見ている?「マスター、大丈夫?気がついた?」 俺を呼ぶ声で眼が覚めた。身体のあちこちが痛い。声のす

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小説 紅蓮 74
2019年03月23日06:04

小説 紅蓮 74 考えて見ると、俺は随分たくさんの人の生きざまにかかわって来たように思う。喫茶店の仕事をしたせいだろうか?それともそういう運命だったのだろうか?自分の中に抑えがたい衝動があって、その衝動を停めないと俺は犯罪者になりそうなのが

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小説 紅蓮 73
2019年03月22日06:02

小説 紅蓮 73  俺の脳裏に酒匂さんの顔が浮かんだ。美人だが暗い影を感じて、何か気になる女性だった。いつもホール席の奥に坐り、ひとりで淋しそうにしていた。気になって声をかけ、カウンターへ誘導して、少しづつ心を開かせ旦那の浮気で悩んでいるこ

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小説 紅蓮 72
2019年03月21日06:25

小説 紅蓮 72 そう言えば、大木さんは俺が自殺するのではと心配していたけど、俺は自殺と消えるを区別している。なぜこだわっているのだろう?佳代子がサラリーマンを辞め自営しろと言い出し、会社を辞めねばならなくなった時も、生きているのが恥ずかし

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小説 紅蓮 71
2019年03月20日06:14

小説 紅蓮 71「乳首が立っちゃった・・どうしよう・・」「マスターは平気?」 潤んだ瞳が真っ直ぐに俺を見、上ずった声で囁くように言う。「変な事言ううなよ。俺が狼になったらどうするんだ」「狼になれる?」 言いながら院長婦人はさらに近づき、俺の

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小説 紅蓮 70
2019年03月19日06:18

小説 紅蓮 70 マシンガン女と同じくカウンターに座る主婦がいた。ジャズダンスでもやっていそうな雰囲気を持っている近所の開業医の奥様だ。吉永小百合風の顔立ちで、均整の取れた身体のラインが見事だと思ったらヨガ教室の先生であった。インストラクタ

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小説 紅蓮 69
2019年03月18日05:27

小説 紅蓮 69 そう言えばと俺は思う。最初に常連客としていついたのは、40を前にした独身女の農協職員だった。住まいが近く、仕事帰りに必ず顔を出し、最初からカウンターへ座った。まぁ美人の部類に入る顔立ちをしていたが、悲しいかな体重がかなりオー

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小説 紅蓮 68
2019年03月17日05:28

小説 紅蓮 68 俺は、佳代子に、商売が簡単なものでは無いことを見せるためにも、冒険的な店舗を作った。町はずれの農道に沿った畑地を買い取り、古民家風の店舗を建てた。メニューはコーヒーとトーストだけ。しかも一般的に1杯350円の時代に450円から5

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小説 紅蓮 67
2019年03月16日05:54

小説 紅蓮 67 そう言えば、都城市で店を出すと行った時、佳代子はすんなりと受け入れた。俺がすることなすこと反対ばかりで、俺と言う人間を否定し、生きている価値のない人間と扱っていたのに、なぜ文句ひとつ言わなかったのだろう?自分が独立しろと言

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小説 紅蓮 66
2019年03月15日05:53

小説 紅蓮 66 暗い道路は登っているようだ。山か丘へとつづいているのかも知れない。俺はコンビニで買った缶ビールを1本空けていた。もともと酒が弱い。酒は睡眠薬を飲むためのものでしかない。缶ビールを1本飲んだのは初めてだ。自殺についていて考察し

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小説 紅蓮 65
2019年03月14日06:02

小説 紅蓮 65 信二の手紙で三島由紀夫と言う作家を知ったが、俺の好みでは無かった。ただそれがきっかけで俺は小説を読むようになり、乱読を始めたと思う。健太や西村の爺さん、たこ焼き屋のおやっさん、労組の幹部、共産党の府議。クラブのホステス、新

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小説 紅蓮 64
2019年03月13日06:14

小説 紅蓮 64 人間の眼は不思議である。街灯も無い真っ暗な道でも、慣れるとうっすらと見える。歩くには不自由しない。そう言えば携帯を持って出るのを忘れた。俺が自殺するのではと心配した大木さんが電話をかけているかも知れない。ふとそんな思いがし

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小説 紅蓮 63
2019年03月12日05:41

小説 紅蓮 63 佳代子はグレーンゾーンを作らない。白か黒か、できるかできないかが全てで、妥協とあいままいを許さない。俺が帰郷するのに船の都合などどうでもいいのだ。離婚した。だから一緒に住まない。すぐに家を出ろと言う論法だった。「店や家の鍵

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小説 紅蓮 62
2019年03月11日05:45

小説 紅蓮 62 「コーヒー飲む?」佳代子に訊ねるとうなづいたので、水を捨てひっくり返してあったケトルに水を入れ、コンロにかけた。由紀子が帰ったので主婦軍団も潮時と思ったのだろう、ぞろぞろと、帰り支度を始めた。 テーブルを片付け、ホールや駐

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小説 紅蓮 61
2019年03月10日06:13

小説 紅蓮 61 店へ帰り着いたのは午後3時になっていた。そのまま臨時休業にしても良かったのだが、結局俺は店を開けた。店の駐車場で、別な客が車を停め待っていた。由紀子と大木さんに開店準備を手伝ってもらい、慌てて湯を沸かしたのだ。 個人の事情

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小説 紅蓮 60
2019年03月09日06:25

小説 紅蓮 60 結局俺は、佳代子の資金援助を受けて独立した。統括部長には、最初に地方銀行から引き抜いた浅沼さんがいたし、鹿児島店には玲子がいる。俺がいなくても会社は心配ない。いや、時代が大きく変わりつつあるのだから、旧い経験主義の俺など、

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小説 紅蓮 59
2019年03月08日06:02

小説 紅蓮 59「後継者って何だよ。子供のいない社長の後継者は当然健太さんでしょ?専務だし」「いや、社長が後を託したいと思っているのはお前だよ。俺が専務になったのだって、お前が店長にしがみついて放さないからだよ。お前の奥さんが定年になったら

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小説 紅蓮 58
2019年03月07日06:31

小説 紅蓮 58 驚きは一瞬の意識の空白を生み、人を冷静にする。状況判断をし、どう行動するかを決めねばならない動物の本能かも知れない。「見間違いじゃない?女房が大阪へ行ったなど聞いていないぞ」「俺が女を見間違えると思う?確かにお雨の奥さんだ

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小説 紅蓮 57
2019年03月06日05:46

小説 紅蓮 57 健太から電話があった。「どこにいる?本社へ来てるって聞いたから顔出すかと待っていたんだけど・・」 健太は当時、専務として本社へ部屋を持ち、社長の右腕として活躍していた。健太は一番の古株であり、先輩であり、社長に次いで尊敬し

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小説 紅蓮 56
2019年03月05日06:00

小説 紅蓮 56 佳代子はその頃、妙に苛立っていた。家族の中で孤立しており、職場でも孤立していたのかも知れない。その苛立ちを俺にぶつけて来たのは、佳代子らしい愛情の表現だったかも知れない。そうと知りながら俺は佳代子が持ち出した独立話しを拒否

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小説 紅蓮 55
2019年03月04日06:23

小説 紅蓮 55 朝の忙しい時間帯に夫婦喧嘩を仕掛けたのは、頭の良い佳代子の作戦だったかも知れない。声を荒げた俺を冷たい眼で睨んだまま、佳代子は朝食を終え、すぐに出勤した。「お母さん、最近おかしいね」 娘は母親より父親になついている。それを

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小説 紅蓮 54
2019年03月03日06:08

小説 紅蓮 54 自殺と言う選択肢もあるのだ・・大木さんの言葉は俺にひとすじの光明を見せた。今気づいたのだが、公証役場から店へ帰る時、カーブを曲がらず突っ込もうとして慌てたりしたのは、身体が死を望んでいたのかも知れない。若い時から本能を意識

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小説 紅蓮 53
2019年03月02日05:34

小説 紅蓮 53 2人目が欲しいという佳代子の申し出を俺は拒否した。子供が欲しい気持ち=セックスをしたい気持ちではないかと思ったのも理由だし、スペアと言う言葉に反抗したのかも知れない。予備として産まれたと、後に知った子供の気持ちを考えた。同

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