mixiユーザー(id:57559642)

2020年10月19日20:40

44 view

妄想小説 暁烏 93

ワイングラス小説 暁烏 93ワイングラス
「まぁ、怒るな。あなたの言うとうり親権はあなたにあるよ。法的にはね。でも、人間・・感情があるからね。産んだのが誰かではなく、義信が誰を親と思うかが大事ではないかな?現実には、俺もあなたも嫌われていてるけど・・」
 俺は短くなったタバコを消し、新たなタバコをくわえながら言う。女房は不倫相手がよっぽど好きで、その男の子供がどうしても欲しかったのだと思った。高校教師という職業が、不倫をおおぴらに出来なかったので、俺との結婚を隠れみのとして利用したのかもしれない。
 利用されるのは構わない。いや、たとえ利用であっても、俺みたいな男と結婚してくれる相手は女房くらいしかいないだろうと、俺は感謝していた。結婚しなけらばわからない体験を、おかげで俺は随分したのだから・・
「義信とは、本当に連絡を取っていないの?」
「真理さんのメールでは、俺に申し訳ないと言ってたらしいけど、その理由は、真理さんにも言わないらしくてね。それに追い出した、あなたがネット契約などを解約したじゃない。ホームページは無くなったし、真理さんのメルアドが解らなくなって連絡を取れなくなったよ。あなたに会って、義信の聞きたいと思ったこともあるけど・・」
 こんな父親がいるだろうか?義信の中にある深い怒りや憎しみと向き合うのが怖く、義信が会話を拒否したのを幸い、俺は逃げたのだ。留学したいと言う義信のために手配したのは、父親らしさを装っただけのような気がする。留学した義信に、一応メールを送ったりしたのも、心配のふりをしていただけ・・それが解る文面だったから、義信は返事をくれなかったのかも知れない。
 一方で俺は、根拠の無い妄想をしていた。確かに俺も悪いけど、義信が本当に嫌悪しているのは女房らしかったので、時間が経てば父子の仲は復活し、笑い話しとして酒のつまみにするだろうと・・
「ところで、あなたはなぜ油津へ?いろいろあって実家へ帰れないしって、さっき言ったけど、何かあったの?」
「あなたのせいよ。あなたは親戚に評判が良くて、離婚したって言ったらなぜ?の嵐・・わたしだけが悪者だもの・・まぁ、母も死んで帰る必要もなかったしね」
 女房の父親は早くに亡くなっていた。義母は女房に似て頑固で、都城で一緒に暮そうと言っても聞かなかった。店が休みの度に俺は義母を訪ね、買い物へ付き合ったり病院へ付き合ったりするために鹿児島へ帰っていた。女房の親戚たちは、そんな俺を好意的に見てくれていたのだと思う。
「今は大堂津へ住んでいるのよ。漁港の近くに家を買ったの」
 女房の言葉に俺は驚く。女房とは不思議な縁があるらしい。(続く)

コーヒークウネル日記コーヒー
 今朝からパソコンの背景が真っ黒になっています。文字は白く表示されますから特に不自由はないのですが、皆さんの画面はどうでしょう?居眠りしながら変なキーを押して、僕のパソコンだけ反転しているのかウインドウズのバージョンアップなのかが解らずあわてています。あれれ?投稿ボタンが無いぞ・・・アップできなければごめんなさい(汗)
1 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する