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2020年09月26日19:19

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妄想小説 暁烏 73

ビール 暁烏 73ビール
 京子ママの店には、俺より3歳上の山下和則がいた。京子ママと同じ古仁屋出身の男だ。店の2階の倉庫の横にある6畳一間が和則の部屋で、昨年高校を卒業して京子ママの店で働きながら大学へ行っていると言う。俺は和則の部屋に居候させられた。
 翌日から俺は、京子ママの店で働くことになった。京子ママの店には、他にも古仁屋出身の女性が二人いた。朋美22歳。浪江20歳。二人ともママの親戚だと言う。古仁屋は俺の村の真向かいの島、奄美本島の最南端に位置する町だ。加計呂麻島と古仁屋を結ぶ定期船が毎朝来、住民は買い物や役場での用を済ませるために利用していた。定期船は午後1時には加計呂麻へ向け出港するので、それに遅れたら個人で船を手配せねばならない。
 古仁屋は、鹿児島・喜界島‣名瀬・古仁屋・徳の島を往復する貨客船の航路に組み込まれていて、本土からの釣り客も多い。加計呂麻と古仁屋を結ぶ定期船用の桟橋には、釣り客や定期船に乗り遅れた客待ちの小さな漁船がたむろする場所でもある。京子ママの店は、古仁屋出身者ばかりなので、俺はほっとした。
 が、接客業は簡単な職業では無い。見習いの俺は、「いらっしゃいませ」と客を迎え、お冷とおしぼりを出すだけが仕事だが「いらっしゃいませ」の言葉が出ない。和則、朋美、浪江のフォローを受けながら夢中で働いた。
 10日経った時、初めて休みを貰えた。俺は京子ママに、竜二兄さんが紹介してくれた徳田親分を訪ねたいと申し出た。ママは何も言わず、組事務所の地図を書いてくれた。地図を頼りに街を歩く。どぶ川の臭い、何の工場だろうか?白い煙を吐く煙突、行き交う車。家屋の造りも空の色も、島とまったく違う。
 徳田組の事務所はすぐに見つかったが、さすがに怖くなった。代紋と言うのだろうか?家紋らしき図柄を入れた大きな提灯が、周囲を威圧するかのように大きくて頑丈そうな城門の扉みたいな門の前に吊るされている。
 門の前には俺より少し年長そうな、やくざ見習い風の男が二人立っていた。派手な柄シャツをだらしなく着、似合いもしないサングラスで粋がっているが、見るからにチンピラ。
 入るのをためらっている俺に気付くと肩を怒らせて近づいて来た。
「なんや。ガンとばしてるんかい」
 俺は慌てて、竜二兄さんに渡されていたメモを見せた。
「この男、組長に会わせよ」
 たったそれだけの言葉に竜二と署名しただけのメモだ。こんなものが役に立つのだろうかと思っていたが、竜二の名前を見てチンピラの態度が変わった。俺を訝しみながらも、門へ案内し、門脇の電話でどこかへ連絡を取る。しばらく待つと門が開き、中で待っていた目つきの鋭い中年男に引き継がれた。俺が門をくぐるとすぐに門が閉まる。俺は2度とこの家から出れないかもしれない・・身体の芯から恐怖が湧いた。(続く)

コーヒークウネル日記コーヒー
 自然っておもしろいですね。今朝の新聞配達は雨こそ降らなかったものの、空全体が雲に覆われ、配達後の朝焼け狙いの散歩は無駄と判断、それでも陽の出の頃に雲が切れ、朝焼けが出ることもあるので、時々外の様子をうかがいながら朝食。雲が切れないので諦めてテレビを見ていると、太陽が昇る時刻、窓の外が妖しい色に染まりました。慌てて外へ出ると、雲は空を覆っていますが、橙色に染まっていて・・
 アパートからは住家の屋根や植木や電線に邪魔されて画にならないので、どこへ走るか迷いました。太陽が昇る時に出る色の変化は速い。2〜3分あるかないかです。今朝はもっと短く、迷っているうちに消えました(汗)撮る場所を決めていて、毎日30分前には現着していないと撮れない瞬間の色でした。残念。毎日行くほどの元気が無いと駄目ですね。

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