mixiユーザー(id:57559642)

2020年09月24日20:05

66 view

妄想小説 暁烏 71

 暁烏 71ビール
 読書好きで頭でっかちの俺は、中学に上がる頃にはすでにオトナの本を読んでいた。読めない漢字を飛ばしていたので、正しくは理解しない。推測と妄想で自分なりの物語を創る癖を見に付けていた。
 尊敬していた父親から実の子では無いと言われると、母親が別な男とエッチして俺が産まれたと思い、母の相手は順三おじさんだと思い込んだ。
 実の父親が順三おじさんでなかったら、俺の妄想は別な方向に進んだかも知れない。だが子供は残忍である。片足が無く、仕事もせず、みすぼらしい男を父親と認めたくない。スーパーマンだと思っていた父親の子だと思いたい。
 今思えば、その頃から俺は歪んでいったと思う。家族と距離を取りだしたのだ。気付かれないよう注意深く・・それが俺の処世術となった。誰とでもすぐに親しくなり、明るく前向きな性格。自分のことより他人を優先する性格。それは表の顔。本質は寂しがり屋の妄想家。
 家族から早く離れたかった俺は中学を卒業すると同時に島を出た。親や先生が進学をするべきだと猛反対するので、黙って家を出た。金は秘かに付き合っていた隣村のやくざ者から借りた。彼は入れ墨を堂々とさらし、自分がやくざ者であることを隠さなかった。実家が隣村にあり、半年ほど前に帰郷したのだが、威圧的な物言いと、態度を恐れて誰も眼を合わさない。その彼を俺は怖がらなかった。顔を合わせると普通に挨拶し、聞かれたら答える。彼の方が気遣った。
「真一、俺はやくざなんや。俺と親しくすると子分になったと思われへんか?」
「やくざと口を聞いたら子分ですか?僕は子分になったつもりはありません」
「そりゃそうや。だけど世の中そう思えへん。お前までやくざって思われるんや」
 変な話しだが、彼の気づかいで、俺は秘かに付き合うようになった。道で会っても知らぬ顔をし、村はずれの岩陰で話しをするようになったのだ。
 彼から聞く大阪へ俺は憧れ、大阪へ行きたいと言う俺に彼は金を貸してくれ、大阪にいる自分の親分を訪ねろと住所を書いてくれた。そして俺は家出をした。卒業式のその夜のことだ(続く)

コーヒークウネル日記
 今日は雨です。昼前一木的に止んだ時間があって、ラッキーなことにそのタイミングでスーパーへ行き、ガソリンスタンドへ行けました。たまには良いこともあります。




1 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する