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2020年09月13日19:09

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妄想小説 暁烏 62

ビール 暁烏 62
 手首に細い傷跡があった。カッターナイフを引いたためらい傷。自殺しようと言う強い意志は無いが、少なくとも試みたと言うことだ。
「痛かっただろう?」
 思わず義信を抱きしめた。なぜ気づかなかったのだろう?深夜に店を終えて帰宅する俺に、女房が「眠りを妨げられて困ると言い出し、俺は店で泊まるようになった。確かに、どんなに静かに帰宅しても、愛犬が飛んでくるし、音を立てないように静かに自室へ戻るのは難しい。夜の営みは無いし、シャワーも俺は夜でなく毎朝仕事の前に浴びる。夜帰宅する意味はなかった。代りに、毎朝帰宅することにした。女房が飼った犬はなぜか俺になつき、毎朝散歩させるのが俺の日課だったから・・
 家族が顏を合わせるのは朝食時だけ。女房は俺を無視し、俺と義信が会話をすることを嫌う。自分が義信の勉強の進み具合をチェックしているだから邪魔をするなと言う。俺と義信は眼で会話をするしかなかった。悩んでいるようなので、気にはなっていたのだが・・
 良く考えると、黙って抱き締めたって解決にはならない。父親らしくない父親の俺は、言うべき言葉を見つけられないのでただ抱き締めたのかも知れない。
「お父さん・・俺、お父さんの店で修業したい」
「学校は?」
「止めるよ」
「後、3学期だけで卒業できるんだよ」
「もう疲れたよ」
「休学って方法は取れないの?」
「前から考えていたんだ。お父さんは中卒だけど、いろんなお客様と親しく、何より楽しんでいる。別に学歴などどうでもいいんじゃないかと思う」
「お母さんは反対すると思うけど、お父さんは義信がしたいようにすればいいと思うよ。働いて、やっぱり勉強したいと思ったらまたやればいいことだし・・」
 俺は義信に、時々顔を出すアメリカ人の英語教師のことを話した。彼女は23歳だったが、英語教師の任期が終わると母国へ帰り、3年間海兵隊に入った後、大学へ行くと言う。
「大学とは本来そう言うものかも知れないよ。ある程度社会体験を積み、自分が何をしたいかを解ってから学部を選び、進学すべきだと思う」
 俺はたぶん悪い父親だろう。息子の高校中退を止めるのでなく、お母さんが反対しても部屋に引き籠れば、無理強いは出来ないはずだと、容認しているのだから・・(続く)

コーヒークウネル日記
 今日も微妙な天気です。雨のち曇りの予報でしたが結局降らず、配達が終る頃晴れて星が見えだしたので、散歩撮影へ行きました。一瞬だけ朝焼けが見えたのですが直ぐに消え、しょうが無いから日南の棚田か酒谷の道の駅まで行こうかとも思いましたが、雨がぱらついたので即中止(笑)
 宮崎カメラの写真コンテストと、今月20日から宮崎カメラ広口店で開かれる写真クラブの写真展に出すプリントを選びプリント依頼へ。宮カメの写真コンテストは出品料がいらず、写真も返却されるのでお得です。ハイアマチュア部門と一般部門に分かれていますが、店長が一般部門への出品を許さずハイアマチュア部門へ出品。締め切りが9月末なので審査結果が出るのは来月かな?
 散歩路でも彼岸花が咲きだしました。
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