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2020年09月08日20:12

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妄想小説 暁烏 58

ビール 暁烏 58
「浮気の問題はともかく、車は遠慮なく使ってください。サポートするのがわたしの仕事ですから・・」
 SAKIのマスターがコーヒーを持って来る。俺意外に客は来ないと思っているのかカウンターから出て、俺の横へ座る。
「車でわたしを買収ですか?」
 俺の皮肉を微笑みで受け流すマスター。病院へ来るためジムニーのドアを開けた時から、俺は古代地球に不時着した宇宙人の末裔だと言うマスターの妄想話しを信じだしていた。咲さんが店へ顔を出してから、俺の生活は急転した。
 女房と息子が「離婚して田舎へ帰ったら」と言い出し、離婚は承諾したが家を出ない俺にいらだった女房が着替えなどをまとめたスーツケースとリュックをと一緒に追い出された時、俺は浮浪者になるか死ぬしかないと思った。店の売り上げは銀行が集金に来ていたし、その月は女房から小遣いが出ていない。「年金が入るからいいでしょう」と言われたが、年金が振り込まれるのは1週間も先だった。「女房の金は女房の金。俺の金は女房の金」と、俺は毎月女房が渡す小遣い3万を私費に使っていた。年金も店の売り上げもすべて献上していたのだ。
 思いどうりに行かないのが人生だが、その月はたまたま誕生日の常連さんが多くて、プレゼント出費がかさみ、貧乏していた。「あなたの年金はあなたが使いなさい。そのかわり今月から小遣い無し」と言われて得したのか損したのか?
 店の売り上げから一時的に借りようとも思ったが、一度手を付けたら歯止めが効かなくなりそうで我慢していたのだ。まさか突然離婚話しが出、「すぐに家をでなさい」と、家と店の鍵を取り上げられるなど考えてもいなかった。
 たまたま戸高さんから電話が来て、「そういう事情なら」と2万円のカンパを受けたのだが、2万円で故郷へ帰る船賃と船に乗るために鹿児島港へ行けるのかわからない。戸高さんは勤務中に抜け出して会ってくれたので、大まかな事情を話してただけ故郷へ帰るとしかいわなかった。
 買い物などに使っていた原チャリで鹿児島市へ向かい、原チャリで鹿児島までたどり着けるかどうかを考えながら、知らない公園で呆然としている時、新聞販売所の所長が声をかけてくれなければ、俺は浮浪者になっていたか自殺していただろう。
 なんとかなるさ主義の俺も、さすがに参っていた。どういうわけか右耳が聞こえなくなり、戸高さんから俺が離婚したと聞いた常連の何人かが電話をくれたが、聞き取れず会話にならない。面倒と恥ずかしさで、以後俺は常連との連絡を絶った。
 SAKIのマスターも咲さんも、そこらの事情は知らないようだが、俺が新聞配達員になってからの情報は詳しい。車の好みなど、部屋に盗聴器を仕掛け、長期の監視を続けねば知るはずが無いのだ。何のために?それはまだ確証がないが、古代地球に不時着した宇宙人の末裔だと妄想すると、俺と両親との関係や、俺の性格などで納得できることが多い。とりあえずはマスターや咲さんの妄想話しに乗ってみようと俺は決めていた。詐欺集団の一員になる恐れもあるが、その時はその時。なんとかなるさと思うしかない。(続く)

コーヒークウネル日記
 小説も書いていないのに、久々に遠出撮影。皇子原公園へ行って来ました。整骨院治療が済んだら、なぜかそんな気分(笑)カメラと三脚を車に積んで置くと、思い付きでそのままでかけられます(笑)
 過去日記を削除しながら日記をアップしているのですが、ちょうど17年の9月を削除しています。10日頃に彼岸花撮影を始めているのを過去日記で知りました指でOK
 ちょっと早かったようで、皇子原公園の売店のおばちゃまに「彼岸花もう咲いてますか?」と訊ねると「いくつか早いのが咲いたが、まだ茎を伸ばしだした状態、まだ咲いてませんよ」
 まぁ歩けば何かあるかもしれないしで、自販機で缶コーヒーを飲んでいると、なんと同じ写真クラブのメンバーが女性同伴で撮影に来てました。「下の方は咲いてたよ」というので、考古資料館の方へ・・裏手に細い川の流れがあり、ちょこちょこと咲いていました。
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