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2020年08月28日20:19

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妄想小説 暁烏 47

さくらんぼ 暁烏 47
 慌てて社長の奥さんに電話した。社長の奥さんはゲラゲラと大笑いし「じゃぁ、それで決めなさい」と無責任に言う。
 翌日には、店の常連さんや社員のだれもが、俺の結婚が3月に決まったそうだねと祝いを述べる。社長に相談しても「誰と結婚しても一緒さ。ただでやれるんだから得したと思え」と取り合わない。
 顔がそこそこ美人だから、顔が気にいらないとは言えない。性格を知らないから性格が合わないとも言えない。どうしよう、どうしようと迷っているうちに、店の客が「結婚を祝う会」を作り、会費制で結婚式を挙げる準備を進めた。結婚式の日時を決め、式の進行表が彼らの手で作られる。俺はどうしようどうしよとオロオロしているんで、彼らの相談先は社長の奥さんだ。予想以上に参加希望者が多く、最初は店のレストランで開く予定だった披露パーティーを、急遽公民館に変更したほどだ。皆の生き生きとした活動に、俺はますますオロオロし、もうどうでもでも良いと諦めて従うしかなかった。
「奥様が共産主義を嫌っていたから共産党の事務所を訪ねたの?どうして、また・・」
 咲さんが眼を丸くしていた。マスターの顔も興味深そうに俺を見ている。
「政治や社会の動きにはまったく興味を持っていなかったのです。選挙も行ったり行かなかったり・・新聞も読まないしテレビもほとんど見てませんでしたから、共産主義って言われてもまったくわからなかったのですよ。どうすれば早く、簡単に知ることが出来るかと考えて、たまたま共産党の事務所があったので、聞いた方が早いかと・・」
「呆れた・・そんなことすれば洗脳されるだけでしょ?」
「で、どうでした?」
「洗脳されたのかなぁ・・親切に教えてもらいました。共産主義の社会は資本主義が高度に発達した後の社会で、まだまだ先の夢だと・・レーニンや毛沢東が武力によって強制的に実行したけど、正しく成功したかはわからないと・・」
 応対した共産党の人は、俺にもわかるようにと、いろんな例えを出しながら熱心に説明してくれた。レーニンや毛沢東が武力革命を成功させた時のソ連や中国の社会情勢が半政府軍を作り、圧政に苦しんでいた民衆の応援もあって、レーニンや毛沢東は勝利し、武力革命は成功したかのように見えても、その時代、国民の多くは奴隷に近い状態であったので、教育も社会制度も行き届いていない。レーニンも毛沢東も、軍力で国民を従わせるしか術がなかったようだ。奴隷状態からの解放などの政策で、それでも国民からは指示されたようだった。
 咲さんとマスターは、俺の生き方や考え方はすでに調べてあったが、女房のことは大まかにしか掴んでいないようだった。当然かも知れない。女房は人付き合いが悪く、友もほとんどいなかったし、自分のことを誰かに喋ることもない。結婚した俺ですら、30年近く連れ添ったにもかかわらず、掴めなかったのだ。女房と俺の関係を詳しく知りたがった。(続く)

獅子座クウネル日記
 ついに写真が無くなりました。今日はペインクリニックへ薬を貰いに行く日だったので、一応カメラを持ったのですけどね。撮る気がまったく起きず、病院へ往復しただけで、後は寝てばかりでした。テレビも見れないくらい疲れてるのかメチャ姉の一日・・大気の不安定は僕の心を不安定にするようです目
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