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2020年07月26日22:32

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小説風妄想 暁烏 14

蟹座 暁烏 14
 翌日、約束の時間に少し遅れて美佳が顔を出した。私服なので、知らぬ者が見たら見舞いに来たかと思うかも知れない。店へ来ていた頃は、どこか幼さを感じる美女だったが、すっかりオトナの美女になっている。
 美佳に連れられて、エレベーターで1階へ降り、待合室を背に廊下を曲がると病院の裏へ通じるドアがあった。外へ出ると、正面は民家が立ち並ぶ裏通りになっているが、病院の駐車場は反対にあるし、病室は大通りに面していたので、裏通りの存在を知らなかった。車1台が通れる通りが、病院と民家を隔てているが、民家も裏側を見せているので、車や人の通行は無い。病院へ美佳の説明によると、病院へ食材を納品する業者や、医薬品納入業者の車が搬入のために使用しているらしい。病院の裏門を出て左に曲がると、すぐに田んぼが広がる、少し広い通りへ出、角に「SAKI」と店名を表示した喫茶店があった。一般住宅の1階をリフォームして店にしたようだ。ケーキのスポンジでも焼いているのか、甘い香りがする。あまり流行っていそうにない店だ。美佳に続いてドアを潜る。
 店内は暗かった。それもそのはず、窓が無く、内装の壁を黒く塗ってあり、カウンターの上に裸電球がいくつか並んでいるだけだ。暖簾がかかった厨房だけが蛍光灯で、異様に明るい。テーブル席は無く、カウンターだけの店であった。カウンターの中でパイプタバコをふかしていた老マスターは、じろりと俺を見て灰皿を出す。「爺さん、まずお冷だろう?」俺は心の中で毒づいた。タバコを吸うために来ただけの店だが、コーヒーくらいは頼まねばならないと思っていたのだが、くらい店内といい、マスターの不愛想さといい、コーヒーもまずいだろうと思った。
「この店、お冷は出ないのよ。水を飲みたいならこんなとこ来るなってのがマスターなの」
 俺の心を読んだかのように美佳が言い、すぐにバッグからタバコを出して1本抜いて、俺の眼の前に箱を置く。銘柄はロングピース。昔、俺が吸ってた銘柄だが、美佳もロングピースを吸っていた。ニコチンとタールが多く強いので、若い女性でロングピースを吸う女性なんてめったにいない。男性ですら軽い銘柄に換えている時代であった。いや、俺ですら、今は軽い銘柄に換えている。ロングピースは香りが良いのだが、目覚めの1本など頭がくらくらするし、世は禁煙を推奨し、喫煙者締め出しにかかっていた。俺も止める方向で、軽いタバコを吸ったり、銘柄を換えたりしていた。一時期止めていたこともある。
「まだロンピなの?」
「そうよ。だってマスター言ってたじゃん。ロンピ吸う女性はカッコいいって」
「そんな事言ってたっけ?でも、タバコは身体に悪いぜ。特に女性は赤ちゃんを産むからね。止めた方がいい・・」
「いいもん・・美佳はエッチだけして結婚しないもん」
「それはありがたい。俺も相手もしてよね」
「いいけど、まだできるの?」
 美佳と話すとついついスケベ話しになる。俺は聞き耳を立てているマスターを見た。メニューを出そうともせず、オーダーを聞こうともしない。俺の店ではマシンガントークの台風娘だった美佳も、この店ではマスターを無視している。
 俺はマスターのシャツが黒シャツであることに気付いた。黒シャツに黒いネクタイ・・よっぽど黒色が好きなのか?
「美佳ちゃんいらっしゃい」
 厨房から顔を覗かせた女性を見て、俺はドキリとした。(続く)

獅子座クウネル日記
 今朝はバイクのエンジンがかからず、車での配達でした。それが疲れたのか、やたら眠く、ダラけた1日(汗)妄想小説を頑張りながらも、途中放棄して何度も昼寝したし・・どうにか今日の分を書きあげげましたが迷走しがちになるので大変(笑)
 バイクは所長が周利してくれたので、明日はバイクで配達できそうです。

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