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2020年07月23日20:18

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小説風妄想 暁烏 11

蟹座 暁烏 11
 戸高さんは職場へ帰る前か後に、大川社長や中村さんに電話をかけたようだ。中村さんや大川社長、それに山田さんなどが、夜に顏を出した。懐かしい顔との再会。気恥しくもあり嬉しくもある不思議な感覚。誰も俺が家を追い出されたことや離婚したことに触れず、純粋に再会できたことを喜んでくれる。戸高さんから口止めされての気づかいだと思っても、正直嬉しかった。
 夜にはまた、二人の刑事も顔を出した。大川社長たちは刑事の無言の圧力で、帰らざるを得ない。「また明日に顔を出す」と言って早々に引き上げた。
 彼らが病室を出るのを待って、刑事は追加の確認と、三脚にセットしたままのカメラが見つかったことを述べた。川の中に沈んでいたようだ。カメラは見つからないらしい。
「あぁ、それと・・奥様に連絡を取りましたが、離婚しているので、関係無いと言われました。来春で定年退職らしいですね」
 さすがは警察。そこまで調べるのか?と驚いたが、
「女房の母親は元気してましたか?」
 俺はずっと気になっていた義母のことを訊ねた。俺が唐突に離婚を告げられたのは、呼び出された弁護士事務所であった。一切の書類が作成されており、弁護士立ち合いのもとで、署名捺印を求められたのだ。その場で俺は店の鍵を取り上げられ、自宅にも店にも近づくなと、当座の着替えや通帳などが入ったリュックを女房から渡されたのである。
 義母を引き取りながらも、女房は母親に冷たかった。食事も一緒に取らない。食事も作ってやらない。自分のことは自分でやれと突っぱねていた。俺と女房の夫婦喧嘩はそこから始まったのかも知れない。俺は実の母同様に、義母を病院へ連れていったり、気晴らしにとスーパーへ連れて行ったりしていた。義母に挨拶も出来ぬまま家を出たのが心残りであったし、俺と離婚したことを知った義母と女房の間にトラブルがなかったかも心配だった。もちろん刑事はそこまで家族関係を追及しないだろうし、深くも聞けない。
「刑事さん、思いだしました。財布はとられていません」
 配達を終えると、俺はすぐに着替える。部屋着であるジャージに着換えるのだ。早朝撮影時に出る時、再びズボンに着替え、財布や携帯、タバコなどをポケットに入れるのだが、今朝は途中で財布を持っていないことに気付いた。俺に必要なのは、携帯とたばこだけなので、気づきながらそのまま撮影へ出たのだ。携帯は、配達漏れなどがあった時、所長から電話が入り、すぐに戻らなければならないので、外出時に忘れたことは無い。
 自分もそうだが、たまに配ったつもりで配達を終えることがある。最後に1部残って、配達漏れに気付くのだが、どの家を配布し忘れたかを想いだせないと、最初の1軒からポストを確認しなければならない。が、確認が面倒で気付かないふりをする配達員もいる。配達されなかったお客様はたいてい苦情の電話をしてくる。新聞を届け、お客様に謝るのも俺の仕事なのだ。
「今朝は財布を持っていないことに気づいたのですが、必要がないのでそのまま撮影場所へ走ったのです。そうです。高校生くらいの不良たちが、お金を貸してと絡んで来たのですが、財布を持っていないと断った・・それでもみ合いになり・・」
 よみがえった記憶。喧嘩に弱い俺は、財布を持っていたなら、有り金を全て渡してトラブルを避けたと思う。財布の中には5〜6千くらいしか入っておらず、俺が守らねばならないのは、運転免許証と健康保険証、それに携帯電話だけだった。
 新たな事実を確認して刑事が帰り、面会時間終了のアナウンスと同時に、看護婦が検温に来た。(続く)

獅子座クウネル日記
 今日も暑かったですね。そして明日からまた雨の様です。今日は微妙な天気のせいか体調が・・心の問題かも知れませんが・・整骨院へ行くつもりでしたが、今日明日連休なのですね。コロナの影響でびっくりするくらい折り込みチラシが無かったのですが、先週あたりからまた増え出し、今日は新聞の厚みと同じくらいのチラシが入っていました(笑) 写真は、昨日久しぶりに高千穂牧場へ行ってみたので、その時に撮ったものです。ひまわり畑はようやく咲きだしたようですが、遠くに一輪で画になりませんでした(汗)

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