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2020年07月18日20:28

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小説風妄想 暁烏 6 

蟹座暁烏 6
 人の世界・・これまで俺が生きていた世界は、独りでは暮らせない世界だった。親兄弟がいて、親戚がいて、職場の同僚がいて、常にだれかと関わらねばならなかった。長男だから・・先輩だから・・組織の一員だから・・社会のルールだからと、うんざりするくらいの干渉があり、制約があった。なるべく他人と関わらないように、俺が注意するようになったのはなぜだったのだろう?
 伝え聞いた天国や地獄は、あまり他人と関わる必要がなさそうだったので、俺は早く寿命が尽きて、天国でも地獄でも行きたいと考えていたのだが、実際に地獄へ来て見ると、大して変化の無い世界のようだ。
 気がつけば周辺には多くのカラスやカワセミ、鴨など、数種の鳥達がいて、新入りの俺に挨拶をしてくる。声をかけて来る。川の主と思われる大きな鯉など、川霧と高さを競うかのようにジャンプを繰り返しながら俺に近付き、挑発か威嚇か?不敵な笑みを浮かべながら俺に水飛沫をかける。
下流から上流へ向かって飛んでいた数羽のシラサギは、俺に気付いてわざわざ引き返して着地する。少し離れた所から、値踏みするように俺を見る彼らの厭らしい眼付は、弱い者にしか絡んで来ない、街のチンピラのようだ。
 霧の中で蠢くそれらの影を追いながら、俺はふと、浦島太郎の物語を想いだした。助けた亀に連れられて竜宮城へ行き、鯛やヒラメの舞踊る姿を楽しんだと言う昔話し・・ひょっとしたら彼も死んで地獄へ来たのかも知れない。いや、浦島太郎は地獄でなく、きっと天国へ行ったのだろう。だから竜宮城で歓待をうけ、元居た世界へ戻れたのだろう。自分の体験を誰かに語ったのが昔話しの原型になったのかも知れない。案外地獄と天国の違いはその程度にしか違わないのかもしれない。
「だとすれば、俺も天国が良かった・・天国なら人間の姿でいられたし、元の世界に戻れたかも知れない・・」
 かなわぬ願望だろうが、俺がそんなことを考えている時、大きな霧の塊が流れて来、周囲がまったく見えなくなった。すぐそばにいたはずのシラサギも、俺に喋りたさそうにしていた子カラスの姿も見えない。慌てて飛び立ったのか、羽音や空気を切り裂く音が一瞬だけ聞こえ、すぐに消えた。
 静寂。取り残された俺に別の影が近づいて来る。落ち着いた、統率された動き。訓練を受けた者達が指示と確認をしながら俺を取り囲み、電話か無線でどこかと連絡を取っている。
「どうなってる?何があった?」
 大声を上げたつもりだが、声にはなっていないようだ。何人かが俺に近付き、板状の物を腰の下に突っ込み、その板に俺を縛り付けた。(続く)

獅子座クウネル日記
 今日は晴れました。予報では午後から雨となっていたので、急いで洗濯したり、バイクのガソリンを補充したり・・散歩撮影は近所を40分ほど歩き、花を撮って軽く吸汗ました。
 フエイスブックを見ると、日南方面はきれいな朝焼けがでたようですが、都城は朝もやでかすみがかった町になりました。久々に、日南当たりへドライブしたくなりましたが我慢して小説の続きを書き、明後日まではアップできる湯にしました(笑)


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