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2020年07月13日18:52

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小説風妄想 暁烏 1

蟹座 暁烏 1
「やっぱり600か800でないと無理か・・」
 俺は自分の独り言を他人事のように聞いた。眼の前に赤く染まる霧が在り、たなびく霧の向こうの消波ブロックの上に1羽の白サギがいる。70−300のズームレンズを付けたカメラを三脚に付け、シャッタースピードと絞りを素早く設定して構図を決め、ピントを合わせるためにファインダーを覗きながらの独り言だ。
 最近独り言が多い。俺の写真は散歩のついでに何となく気になったものを記録しているだけなのだが、写真歴は永い。コンテストなどに応募して入賞するほどの写真は撮れないが、写真歴が永いからそこそこ見れる写真は撮れる。偶然知り合った写真好きの仲間も出来、写真クラブにも入会した。例会で写真が高評価されることもある。コンテストに出せと言う仲間もいるが、俺にその気はない。が、仲間に認められる写真を撮りたいという欲はあった。
 じょうずな人の写真を見ていると、どうすればこういうのが撮れるのかと、いつも驚かされる。才能の違いと言われるとそれまでだが、彼らを見ていると、才能以前に凄い努力をしている。暇さえあれば撮影に行っているし、多くの写真雑誌を見たり、自分なりの工夫をしている。
 少しでも彼らに近付こうと思うのだが、俺には彼らほどの熱心さは無い。車を飛ばして遠くまで行く気はないし、撮影に金をかけたいからと、タバコや酒を止める気もない。写真はじょうずにはなりたいが、好きなタバコと酒を止めるほど熱心さは持っていないのだ。
 アパートから30分も歩くと川があり、時には川霧が出ることが解ってから、毎日では無いが、気が向いたら川まで歩き、陽が昇るのを待つようになった。川霧が朝焼けに染まる時、何でもない川が美しく変わることを知ったからだ。太陽は季節によって昇る場所を移動させる。時には大きな鯉がジャンプしたり、シラサギやカラスが空を横切ることもあった。
 朝焼けの色も毎回違う。朝焼けに染まる雲の形も毎回違う。俺は堤防を上流へ歩いたり川下へ歩いたり、対岸を歩いたりしながら消波ブロックの積まれた今のポイントを見つけた。芝生が張られた河原へ降りると、時折散歩やジョギングを楽しむ人の姿を見ることもあったし、昇り行く太陽へカメラを向けたり、背後へ向けたり、写真の出来栄えはともかく写す対象は多いことに気付いたのだ。
 朝の光は変化が速い。陽が昇る30分ほど前から色づきだす空は、あっという間に雲の形を変え、川霧の蠢きを変える。シャッターを切るのが遅かったり、思うような構図にならなかったりしたとき、俺は無意識に独り言を言うようになったようだ。独り言を言いながら反省をし、カメラの設定を換えたり場所を移動したりしていた。
 消波ブロックの上にたたずむ1羽のシラサギに気付いた時、俺はすぐにカメラを向けたのだが、距離がありすぎる。広い川があって、シロサギが小さくしか写らない・・もう少し大きく写したい。シラサギの表情が解るほどに・・
「近くへ行けばいいじゃん」
 どこからか声がした。俺の独り言では無い他人の声。驚いて振り返ったが誰もいない。(続く)

獅子座クウネル日記
 今日から歯の治療が始まる予定でいたのですが、腫れがまだ残っていて、治療は金曜日に伸ばされました。薬を出されておw理です泣き顔少しマシになったとはいえ、まだ固いものを食べると傷むので、おかゆを食べたりインスタントラーメンをふやかして食べたり、これがダイエットになればラッキーなのですが・・
 妄想小説は主人公をカメラマンに選びました。書きながら、写真のことが考えるのでないかと、一石二鳥を狙った自己満足文章アソビ(笑)ちょっとエッチなことがおこるかなぁ・・今日の写真は妄想の起点になった1枚のシラサギです。今年の春に近所の川で撮ったもの・・作者の実体験を描くふりをしながら嘘の話しを作って行きます(笑)
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