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2019年10月22日19:47

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小説 秋物語り 25

小説 秋物語り 25
「誤解しないでくださいよ。あなたを美紀さんとその両親に紹介したいのです。今晩彼女の家で夕食をいただくことになっているので、良ければ一緒にと思っただけですから・・」
 少し慌てた風を装って沖田は言葉を継ぐ。中村義之の記憶は取り戻したい。が、それはメアリーに聞いた記憶で無く、真実の記憶でなければならない。なるべくメアリーに悟られずに・・
 沙耶は、それ以上深い話しをしたくないと言う沖田の意志に気付いたようだ。
「わたしが行ってもお邪魔で無ければ、ぜひお伺いしたいです」と応え、
「あ、でもその前に、カメラをいれるかどうかは別として、一応取材させてください。勤務中ですから、一応仕事をしたという、日報を出さねばなりません。取材はしたと、上に上げねばならないのです」
 話題を変える沙耶。沖田は沙耶の賢さに驚嘆した。若くして警視になったと言うのは嘘ではないようだ。お爺ちゃんと呼ばれている中村義之も、そんな賢さを見抜いて孫みたいに接したのかも知れない。
 沖田は沙耶の質問に応えた。コーヒーと出会ったきっかけ、店をオープンさせた理由、それらはメアリーに教えられたことだ、嘘か本当かを沖田は知らない。中村義彦の記憶を無くしているのと同様、沖田はメアリーの治療を受けていた以前の、沖田信之としての記憶も無いのだ。
 コーヒーにこだわる理由を訊ねられるとほっとする。沖田はなぜかコーヒーが好きで、知識も豊富だった。移植された身体が馴染み、食事が普通食となって、食後のコーヒーが出た時、コーヒー豆が劣化し、味が変になっていることをリズに指摘した。
「コーヒーメーカーで点てているのだろうが、これはひど過ぎる」
「そう?コーヒーってこんな物じゃないの?」
 リズはそう言いながらもメアリーにクレームとして報告し、メアリーは、試みに沖田が感じる美味しいコーヒーを飲みたいと言った。
 それがきっかけで沖田は都城に珈琲専門店を出せてもらえるようになったのだから、身体が覚えた技術恐るべしだ。
 沖田が喋るコーヒーのうんちくに沙耶は興味を持ち、続きは夜にと、松原家を訪ねる約束をした。(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 明日はまた雨?今日もなんか気合の入らない一日・・早朝散歩は行き、小説も一応かいたのですが、遅々として進まずです。パソコンの前に坐った時間は長いのですが、小セル今日の分しか書けませんでした。写真でも撮るしかないと、神柱公園まで行ったりしたのですが、撮る意欲が無いと駄目ですね。歩いただけで終わりました(泣)
 あ、そうそう、今朝の朝焼けも一瞬でした。でも山を見ると雲海が出ていそうな気配です。どこかで頑張る気を出さねば・・
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