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2019年10月19日21:39

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小説 秋物語り 22

小説 秋物語り 22
 ある日、初めて来店したらしい女性が沖田を見て驚いた声を上げた。
「お爺ちゃん?」
 昼のピークを終えたアイドルタイム。カウンターでは、昼休みの長い歯科衛生士の美紀が、午後の勤務のため帰ろうと立ち上がって沖田に手を振ったばかりだったし、テーブル席に不倫らしきカップルが一組残っているだけ。リズとナンシーは休憩に入り、地下食堂で遅い昼食に入っている。ジョアンナは、厨房でケーキの仕込みに入り、沖田はカウンター内で美紀に手を振っていた。
「失礼しました」
 沖田を「お爺ちゃん」と呼んだ女性は、丁寧に詫びながらカウンターへ来た。カウンターの前で一礼し、名刺を取り出して沖田へ差し出す。「ケーブルテレビ」とロゴが入った名刺に、松原沙耶と、名前が印字されている。営業用の一般的な名刺だ。
「取材をさせていただきたくまいりました」
 言いながらも沙耶は、不思議そうに沖田を見る。驚きと懐かしみ、まん丸の黒い瞳が戸惑っている。
「じゃぁマスター、また夜にね」
 不意の状況に足を停めた美紀が、時計を見ながら慌てたように店を飛び出す。ホール席の不倫カップルはほっといても良いし、ジョアンナは厨房からちょっと顔を出しただけで、すぐに仕込みに戻る。
 沖田は沙耶に坐るよう勧め、名刺をポケットへ入れてお冷とメニューを沙耶の前に置いた。SNSの普及している時代。「こーひーのみ」は、特に広告をしていないが、客の話しでは検索すると結構話題になっているらしい。最近、広告の掲載を求めて営業に来たりする者が増えていた。地元テレビの情報番組で紹介したいと取材許可を求められたこともある。
 沖田は、知名度を上げるつもりはないし、売り上げを増やして2号店などの野心も持っていない。ほどほどの客でないと監視チームが困るし、ドクター・メアリーの本意でもないと解っていた。
「取材されるほどの店では無いですよ。コーヒーが好きで店出してるだけですし・・」
 やんわりと断る沖田に、松原沙耶はあっさりと引き下がった。
「それじゃぁ、お客としてゆっくりしていっていいですか?」
「それは構いませんよ。商売ですから、少しはお客がいないと困ります」
 松原沙耶はメニューを広げたが、ちゃんと見てはいない。心の動揺を抑え兼ねた様子でちらちらと沖田を盗み見る。(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 今日は久々に暑い日でした。明日の飫肥城下祭りに行く元気のために午前中整骨院へ。そのついでに石山観音寺公園を散歩しながら撮るものを探そうと足をのばしました。公園管理は桜の時期しかしないのかな?池の周りを歩いて見たのですが草ぼうぼうで、まるで廃園になったようです。池には青のりみたいなのがはり、土曜日だと言うのにボートも出ておらず、さっぱり写真になりません。イベントなどが行われる広場の側にトイレがあるので、そこへ行こうとすると、紐が張ってあって・・多分通行禁止と言う意味なのでしょうが、トイレは我慢できない(笑)勝手に紐を潜って無断進入・・後で知ったのですが焼肉カーニバルと、花火大会の日だったようです。イベントをやっているならステージ写真が撮れるのではと、行って見たのですが、入り口の雰囲気が焼肉カーニバル参加者以外は入場禁止の雰囲気・・なんか写真を撮ったらいけないような気がして引き返しました。車を停めた場所が公園入口だし、公園内は通行禁止のようだし、車道をてくてく(笑)
 あ、でも桜が咲いてましたよ。季節を間違えたあわてんぼうの桜・・
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