mixiユーザー(id:57559642)

2019年10月14日10:00

67 view

小説 秋物語り 16

小説 秋物語り 16
 京子は、さすがに40歳を過ぎた人妻であった。あるいは最初からそのつもりであったのかも知れない。驚いた風もなく頷く。同時に右掌を沖田の太ももに置く。
「さすがマスター・・上手に誘うのね」
「ちょっと待て、誘ってなんかいないぞ」
「う〜んもう・・わかってるわよ・・」
 太ももに置いた京子の指がぞわぞわと動いて沖田の股間へ伸びる。沖田は苦笑しながら車を停めた。
「振り向かずにサイドミラーで後ろを見て・・車が見えるでしょう?」
「あ、ほんとだ」
「さっきからずっとつけているんだよ、僕たちを・・」
「つけてる?」
「京子さんの旦那さんが雇った探偵かも・・」
 監視チームの車は、沖田が車を停めたことを不信がりながら、さり気に通り過ぎて、ホテルへ車を乗り入れる。
「違ったみたい・・入って行ったわ」
「いや、待って・・多分男が物陰からこっちを見るよ。こっちの様子をうかがいにね」
 言いながら沖田はホテルの中へ車を少しだけ入れた。先に入った黒いワンボックスカーは停車し、助手席から男が降りる所だった。京子がそれを見たことを横目に、沖田は車をバックさせ、来た道を急発進で戻る。驚いた京子は、置いた股間の右手に力を込める。若いオスは自然現象でむくむくと立ち上がる。しばらく走ると高千穂牧場がある。入り口傍の駐車場に車を入れてしばらく待つと、つけていたいた車が追いかけて来て駐車場へ入り、少し離れた所へ車を停める。
「やだぁ・・ほんとに尾行してる・・」
「旦那さんは京子さんが離婚するつもりでいることを知ってるの?」
「知ってるわよ。元々はあいつがこそこそ浮気してたのが原因なんだもん。慰謝料ふんだくってやるって言ってあるわよ」
「多分慰謝料減額しようって狙いだな。京子さんも浮気してるって、裁判の時に主張するつもりだろう」
「そんなぁ・・息子が大学を卒業したら自分の会社に入れるからそれまで待てって言われてるのよ。慰謝料はじゅうぶんすぎるくらい出すって・・離婚することで話しはついてるわよ」
「口約束だろ?その後愛人ができたかも知れないし、なるべく慰謝料を減らしたいんだろうね。会社を経営してるなら弁護士の知恵でも借りたのかも・・」
「わたし‥結構浮気して来たのよ・・」
 京子は事の重大さに気付いたようだ。環視チームに仕掛けたいたずらが思わぬ結果になって、沖田は笑い出しそうになるのを必死で堪えた。(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 ラグビーかスコットランドに勝つし、台風の被害は大きいし、ずいぶんいろいろありますね。鹿児島合同写真展は今日で最終。でも重い腰が上がりません。行けたら行こうと早朝散歩へ出ず、ひと眠りしたのですが・・
 まぁ今朝は曇り空で、朝焼けの気配無かったのですけどね。ひとねむりから覚めると快晴だし(笑)毛布を洗濯したり掃除したりしようかなと思っています。小説も書き貯めたいし・・
 今日の写真は昨日の朝散歩時の撮影です。短い時間でしたが紅く染まってくれました。

1 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する