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2019年09月17日16:04

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小説 夏物語 49

小説 夏物語 49
 大野の話しで、義之への襲撃は北朝鮮の義之の母親への報復が目的であることが解った。義之の母親は、元々日本人だが、幼少期に北朝鮮へ拉致され、スパイとして訓練・教育戻された。意志の強さと判断力に優れ、変装術や演技力にも長けていた。素顔の美しさを老婆に変えたり、娼婦に変えたり芸子に変えたりしながら日本軍や政府の高官と繋がって目覚ましい諜報活動をしていたらしい。
 どういういきさつかはわからないが、義之の父親と恋仲になり、義之を産んですぐに、本国北朝鮮からは裏切り者として処刑対象者になり、日本軍には北朝鮮のスパイとして追われるようになったと言う。かねてから静子の活躍を妬んでいた仲間のでっち上げと嘘の報告や密告が原因であった。
 中村静子の活動の能力に眼をつけていたアメリカは、静子をスカウトすることにし、アメリカのスパイであった沢木に接触を試みさせた。静子の相手が沢木の部下であったことを利用したのだ。沢木は言葉巧みに静子をアメリカ行きの船に乗せた。そうしておいて、憲兵に静子の渡米を密告したのだ。義之の父親は混乱の中で義之しか守れなかった。アメリカもまた静子だけを必用としていたので、父子は無視したようだ。
「母上様はアメリカに渡って、母国北朝鮮や旧日本軍の実態を知り、アメリカの民主主義に触れて思想転換をし、以後積極的に米軍の諜報攪乱作戦に参加して行ったようです。外から、日本と北朝鮮の帝国主義を倒し、早く親子3人で暮せるようにと願ったのでしょう」
「戦後、日本はアメリカに統治されたはずですよ。その時点で俺や親父の元へ帰れたはずです」
「その時はあなたとお父様は沢木中尉の前から姿を消していたようです。お父様は独自の調査で沢木中尉がアメリカのスパイであり、お母様をアメリカへさらったことを知っていたようです。さりげなく沢木中尉と連絡は取っていたようですが、必要な武器や金を持ち出すだけで自分の所在を掴ませなかったそうです。沢木中尉は戦後、闇の支配者として日本の政治にかかわったようですが、自分の私欲を満たすのに懸命で、スパイとしての能力は低かったようです」
「ずいぶん昔の話しでしょう?それに僕は北朝鮮とまったく関係ありません。今頃になって、なぜ静子を狙わず僕を襲撃したのですか?」
「報復ですね。あなたのお母様は退役後もスパイ養成学校の校長として活躍し、米軍も、大統領と同等の重要人物として警備をしていたので近づくことすらできない。で、息子を殺すことで報復しようと計ったようです。お母様が老衰の上に重度の心臓病で余命半年と解って、大統領に日本に残した子供に一目会いたいと懇願したことから、あなたの存在を知ったようです」
「親父は?親父に会いたいとは言わなかったのですか?」
「ご存じのとうり、我が国とアメリカは現在同盟関係にあります。アメリカ政府の依頼で、わたしたちは半年前からあなたとお父様を探しました。残念ながらお父様の所在は掴めませんでした。死亡したとしか思えませんが、確実ではありません。お母様の死期が解って、最終的にはあなたをアメリカに呼ぼうと言うことになったのですが・・」
 大野はそこでニヤリと笑った。
「素直に応じるあなたでは無いですからね。で、沙耶警視を派遣して、じっくり説得しようと、タイミングを計っていたわけです」
「結果的にはそれが北朝鮮にあなたの存在を知られ、お母様が死ぬ前にあなたを殺す計画を立てられたみたい・・」
 まるで自分の責任みたいに沙耶が大野の言葉を引き継ぐ。(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 天気は快晴が続いていますが、昨日は疲れたのかダウンでした。テレビを見る元気もなく、位置に寝て暮らすと言うありさま(汗)歳を取るとスキン時間は短くて良いと言いますが、僕はまだ若いのでしょうね。寝だめをしないと身体が持ちません(笑)おかげで小説も書けずでした。
 今日は整骨院へ行ったので元気です。なんとか続きをかけました。でも1葉だけなので明日はまたさぼるかも(汗)
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