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2019年05月23日21:16

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小説 サングラス (姉妹)23

小説 サングラス (姉妹)23
 わたしはいつからか気づいていた。マスターもまたわたしに好意を持っている。可愛い不器用さに、わたしは魅かれたのかも知れない。一番はコーヒーで2番は仕事。どんなに頑張っても、わたしは3番にしか慣れなさそうだったが、それでもかまわないと思っていた。
 思えば彼氏を尚美に奪われてから、ある種の人間不信とコンプレックスの塊になっていたわたしに接客と言う仕事を教え、心を装う術を教えたマスター。恩人であり師でもあったが、時に、弟にも思える。父親よりも年上のマスターを弟のように思うのは不遜かも知れないが、どこかほっておけないのだ。出来の悪い弟の商売を手伝っているような気分にさせられる。雇い主と従業員となったり、姉と弟になったりしながらわたしとマスターの関係は深まっている気がする。
「佐々木さん、うまく尚美ちゃんの心を掴んだようだよ」
 マスターからのショートメールが入った。恋人でもないのに、マスターはこまめにメールをくれる。そんなところが可愛くもあり、弟のようにも思えるのかも知れない。
「良かったね。これでバトンタッチできるわね。でも、マスターも撮らないと駄目よ。たくさん撮らないと尚美はまだ撮ってもらっていないって言うわよ」
「了解」
 短い返信しか返って来ない所を見ると、撮影に夢中になっているのだろう。ちょっと不満でもあり、ちょっと腹立たしくもある。マスターはどんな顔で尚美を撮っているのだろう?
 ぼんやりそんなことを考えていると、ふと小杉さんに言われたことを想いだした。小杉さんは週に1度、自分の店が休みの時に顔を出すらしいが、ほとんどが夜なので、わたしは何度かしか顔を合わせていないのだが、ぶしつけな言葉でわたしを驚かせたのだ。
「あんた処女だね」
 わたしは意味が解らなかった。ぽか〜んとするわたしに小杉さんは続けた。
「何度か男に抱かれた方がいいよ。そしたらびっくりするくらいきれいになる」
「小杉さん、イタリア人もびっくりの口説き方しますね」
 わたしがやっと言葉の意味を理解したとき、マスターが割って入った。(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 なんとか今日アップする分の小説を書きあげました。いっちょうまえに書けない苦しみで午前中をつぶし、気分転換に本屋へ行き、その足で少し写真を撮ったら、なんとかなりました(笑)明日の分はまた明日。あじさい・・どんどん色づいて来ました。でも日差しが昨日・今日強いので紫陽花は脱水状態。フニャッとし俺、花も枯れだしていました。日陰の花はどうにか元気でした。

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