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2019年05月22日19:53

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小説 サングラス (姉妹)22

小説 サングラス (姉妹)22
 母から待機を命じられたまま、ホテルで過ごす尚美は鬱屈していた。ひょっとしたら、尚美が母に頼んだ陰謀ではないかとさえ思ってしまう。尚美はわたしがマスターと一緒にいる姿をみたくないのだろう。それならそう言ってくれれば、わたしは理由を作ってマスターの撮影助手を断ったのにと、腹立たしさを覚える。
「佐々木さんがじょうずに合流した」
 マスターからショートメールが入った。すぐにも返事を打ちたかったが我慢した。すでに撮影が始まっているかも知れない。邪魔をしたくない。返事を送らなくても、マスターは気持ちを解ってくれていると確信している。店でもそうなのだ。客とは親し気にしゃべっても、わたしには必用最小限な事しか言わない。嫌われているのかと心配になった。
 それを察したらしいマスターは店休日にわたしを呼び出し、謝ってくれた。自分の子供時代のことや家族のこと、修行時代のこと、恋愛観や経営の考え方。そこから生まれた女性との距離感。
「客としてしゃべる時は、ホスト感覚で気のあるそぶりを見せたり、気さくに話しが出来るのだけどね。女性として意識すると駄目なんだ。、あ、変な意味じゃないよ。誤解しないで・・一人の人間として尊重しているって意味だから・・」
「その一言は余計ですよ」
 思わず私のかが赤らんだのが解った。憧れていたマスターから、告白されたように思ったのだ。いや、間違いなく告白かも知れない。その他大勢の女性では無く、大切な存在と言ったのだから。ずっと気になっていたことを、わたしは思い切って訪ねた。
「お客様にから聞かれたとき、マスター、いつもあいまいにこたえ、話題を逸らしているんですが、本当の所どうですか?奥様はいらっしゃるんですか?」
「商売上はいるのかいないのかわからなくしないといけないんのだろうけど、正直、いないよ。この歳まで、一度の結婚どころか彼女のひとりも出来たことが無い」
「ほんとに?女性と付き合ったことも無いんですか?」
「好きになったら距離を取るんだよ。好きになった女性は多かったけど、好かれたことが無い。男と同棲したことは何度もあるのだけどね」
「えぇ〜っ」
「あ、それも変な意味じゃないよ。男は恋愛感情無しに付き合えるから、気が合う仲間たちと共同でアパート借りたり、金が無くてアパート追い出されたとか言う学生をしばらく同居させたりしたってこと。同性愛者ではないからね」
「びっくりしたぁ〜・・あ、わかった・・それで小杉さんと親しいんですね。異母兄弟かなって感じることがあるんですけど」
「小杉さんは、女癖が悪そうに見えるけど、実際はすごい照れ屋でね。テレ隠しに悪ぶっているし、事実悪人だけどね。彼が食えない時に同居してたんだよ。2年ほど。菅沼君もそうだけど、性格がまるっきり俺の反対だからあこがれでもあるし尊敬している」
 マスターの意外な一面を知ったことがわたしの恋の始まりだったかも知れない。(続く)

獅子座クウネルのつぶやき獅子座
 今週はずっと改正続きのようですが、今日はなぜか体調が・・頭痛がひどくて寝込んでいた。小説も明日の分が無くなりましたが、書く気なし。明日はさぼるかも知れません・・
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