mixiユーザー(id:57559642)

2018年01月29日06:56

544 view

妄想小説 風舞 47

            妄想小説 風舞 47

 カーステレオが旧いスイングジャズを奏でている。チャッ・チャッ・チャッと刻むリズムの上をドラムが走り、サックスやトランペットが舞う。甘い声の女性ボーカルがかぶさる。俺はこのテープをダビングした時のことを覚えている。まだ若い白人女性が胸の谷間を強調した衣装で歌っていた。顔もきれいだし、声も良い。胸を強調する必要はなさそうだが、髪をすくった手をさりげなく豊かな胸元へ持って行き、セクシーさを売りにしているかのようだった。カメラを固定し、上半身の動きしか見せないので、脚の長さやスタイルに自信が無いのかも知れない。
「ねぇ・・飫肥のコーヒー店へ行く途中にホテルは無い?」
 探るような眼を俺に向けながら、尚子が右手を伸ばす。俺の大腿部に触れるその感触に、オスを呼ぶメスがいる。
「知らないよ。俺は撮影が目的で日南へ来てるだけだから・・」
 さりげなくを装って尚子の手を外す。男とは不便なものだ。流れる音楽から映像を思い出し、揺れる乳房をイメージしている時に股間に指を這わされたのではたまらない。ピクンピクンと男が反応している。
 その昔、まだ20歳になったかならぬ頃に、大阪で満員電車に乗った時のことが蘇った。あの時、目の前に若い女性がいて、正対する形になったまま動けずにいた。身動きできない状態の中で、俺は両手を窓ガラスに押し付け、必死で踏ん張った。女性の身体にわずかの隙間を空け、身体の密着を避けていた。申し訳なさそうに女性が見ていた。それでも電車が揺れ、人が揺れる。女性の身体が触れる。若いオスがピクピクと反応する。そして、ビンといきなり跳ね上がった。
 俺も女性も驚いた。互いに予期していなかった。慌てる俺、顔を赤らめる女性。顔を見合わす。そして、どちらからともなく笑った。両手はまだ踏ん張っている。身体の密着は無いのだ。それでも跳ね上がった勢いを女性はどう思ったのだろう?顔を見合わせて笑い合う俺と女性の周りが怪訝な顔をした。
 女性が握っていた吊り革から左手を離し、俺の腕を摑まえた。そして右手に持っていたハンドバッグを俺の股間との隙間に置く。俺も腰を引き、跳ね上がった元気物の治まりを計る。
「次で降りへん?」
 女性は俺より小柄だった。見上げて小さく囁く。従うしかない。痴漢だと突き出されても言い訳の出来ない行為をしたのだ。意識しての行動では無かったが・・
 幸い女性は俺をかばってのことだった。俺の腕にしがみつき、俺の歩き方が不自然なことを隠そうとする配慮だった。ベンチまで行き、俺を座らせて、近くにあった売店でジュースを買ってくれた。映画やドラマなら、そんなきっかけで恋が始まる所だろうが、二人の間に物語は生まれなかった。そうしておいて、女性は次の電車に飛び乗ったのだ。
「何思い出に浸っているの?」
 手を払われた尚子がすねたようにタバコを加える。(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
昨日は一日何もするきが起きず、、寝たりテレビを見たり、音楽を聴いたりで終えました。かろうじて主節の続きはかきましたが、文章おかしいですね。そろそろ終わりたいと思っているんですが、終わりの方向へ進まず困っています(笑)どうなりんでしょうね(笑)
0 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する