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2018年01月24日08:36

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妄想小説 風舞 42

             妄想小説 風舞 42

 人は恋すると駄目になる。俺は異性を意識しだした頃から自分をそう戒めて来た。出稼ぎばかりでほとんど家にいないくせに、帰って来ると変なことを俺に教え強要する父親、父親が帰ると妙にいそいそとし、あふれんばかりの妖艶さで父に甘えていた母親が、父親がいなくなった翌日には別な男を家に連れ込み、おぞましいメスになって裸の男に抱かれる。妹のようにかわいがっていた千晶が、実は男だったと知った驚き。俺は何が真実で誰を信用すべきかわからなくなり、ついには自分までをも疑って、不安と恐怖を感じながら生きて来た。
 誰も信じないと言うことは自分をも信じないと言うことで、自分が生きる意味を見出せないと言うことだ。人の世の面白さは、自分を嫌っている俺を好ましく思う者もいることだ。自分を捨てているから他人の評価を気にせず、誰に対しても言いたいことを言い、権力に反抗する男と頼もしがられる。いつ死んでも悔いが無いから無鉄砲なことをするので自由さが羨ましいと憧れられる。
 たまたま京子ママに拾われて、接客業に就いたのが幸いしたのかも知れない。俺は表面上は楽しそうに見える毎日を過ごした。陽気に損得なしに接すると客は安心する。疲れて陰気な顔よりも、馬鹿みたいに笑うアホを喜ぶ。
 それは演技で可能であり、嫌われない距離を取る術でもあった。女性との距離を取るのは特に面白い。必要とされない時にはただそこに在るだけの置物になり、必要を感じられた時はすぐに召使になる。女性の感情は絶えず揺れていて、波長を同調させたり、誘導したりするのは簡単ではない。簡単でないことに気づいたから俺は楽しめたのかも知れない。
「父も母も大嫌い」
 尚子のことばは、多分本音だろうと思った。仲睦まじそうに店へ顔を出す尚子と母親の会話に、どことなく違和感を感じていたのだ。ひょっとしたら尚子は、俺と同じ悩みを抱えているかも知れない・・そんな想いが尚子に恋心を抱かせたのかも知れない。顔の造作も身体の造作も好みだと思わせたのかも知れない。人を恋する資格は無い。人を恋してはいけないと決めていても、人としての感情を抑えることは出来ない。尚子に初めて会った時から、俺は尚子に恋していた。距離を取りながらも尚子の言葉やしぐさに一喜一憂していた。
 先人の教えは正しい。恋は好きな相手を良い風にしか見ようとしない。冷静に見れば、これは許せないと思う欠点があっても、そんな一面もまた可愛いと見てしまうのだ。
 おまけに数年ぶりの再会。不思議な幼子の家を探して訪ねた家に尚子がいたと言う偶然、忘れていた恋心を思い出し、愚かにも運命ではないかと俺は舞い上がった。
 尚子に誘われた都井岬へのドライブ。不可思議な事件。冷静に考えると夢を見ているとしか思えない。特殊能力など俺に在るはずが無く、姿を消したり現れたりする子供などいるはずが無いのだ。「父も母も大嫌い」と言う尚子の言葉が俺を夢から覚めさせようとしている(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 正直下手な妄想小説を早く終わらせたいと思っています。ボケ防止になるかと書いているのですが、書き貯めがなく、毎日書くのは焦ります(笑)よおし、この方法で事務局長さんの期待を裏切り終わらせようと決めたのですが、そこへもって行くまでが難しい(笑)でもまぁ、そろそろ終わりが近いので、もう少し辛抱してくださいね(笑)写真は野焼きです。川の向こう側で土手の草を焼いていました。煙にびっくりして行って見たのですが、到着が遅れ火の勢いは収まっていました目
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