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2018年01月12日06:40

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妄想小説 風舞 31

          妄想小説 風舞 31

こういう時が尚子の一番魅力的なとこだと思う。尚子は自分でもまたその武器を知っているのだ。
「ふふ、マスターたら可愛い・・あの頃と、ちっとも変わらないのね」
 目的地である都井岬へ近づきつつあった。山の間に海が見える。久しぶりに見た海に不思議な感動を覚える。とっくの昔に捨てた故郷。母と親戚。
「マスターにわたしの秘密を教えようか?」
 尚子がハンドルに置く俺の左手に掌を重ねながら言う。
「秘密?島袋さんに土下座されて、1度は許したとか?」
「あはは・・そうじゃなくて・・両親も知らないのだけどね。わたしは人の心が読めるのよ」
 尚子の言葉にドキリとした。尚子の父親が危惧していたし、ひょっとしたらと、俺も感じていたのだ。
「そんなに驚かなくてもいいわよ。眼の動きや顔の表情などを観察し、分析したら誰でもわかることよ。マスターだってある程度のことはわかってるでしょう?だから上手にお客さんとの距離を取っていたのだし・・」
「俺は・・自分がたいした男では無いってことはわかってる・・」
「マスターの悪い所は否定的に自己分析するところよね。もっと欲を出して、好き勝手すればいくらでも女遊びが出来たし、商売もじょうずに出来て大儲けできたのに・・」
 あ、そう言う意味か?賢さで身に付けた分析と観察力を人の心が読めると勘違いしているのか?内心ほっとする。
 尚子がたたみかける。
「マスターが島袋さんに持っている感情・・女性を抱けない理由・・わたしが言い当てようか?」
「ちょっと待て・・それが解るって言うの?」
「わかってたわよ。ずっと前から。マスター、島袋さんを愛してるのよね?
その感情を必死で抑えてる・・」
「抑えてるのは確かさ。でも・・どうだろう?」
 俺の島袋に対する愛情は、一般的に言われる愛情では無いと俺は思っている。男が女を愛するような、心の結びつきや身体を求めあう欲求では無い。正確に言えば恐怖だ。女性だと思て抱いたら、土壇場で男に換わるかも知れないと言う恐怖から俺は女性を抱けなくなっているだけだ。性の欲求を男に感じる事は無い。それをどう伝えれば正しく理解されるだろうか?(続く)

獅子座クウネル日記獅子座
 写真を撮ったら小説がお留守になってしまいます。どうにか今日は続けたのでもう寝ます(笑)
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