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2016年05月24日06:10

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小説・限無幻夢 (時間旅行 14)

小説・限無幻夢 (時間旅行 14)
 俺が子供の時、思い出すのも恥ずかしいくらいに貧しかった。島に暮すほとんどの者が貧しく、食うや食わずの生活をしていたから、自分の家の貧しさが気にならないでいたのだが、電気も引けず懐中電灯も無く、昼間遊び過ぎると宿題が出来なかった。灯が無いのだ。たったひとつしかないランプは台所にあって、おふくろが昼間集めて来たソテツの葉を束ねる内職に使っている。自生も多いソテツの葉を昼間のうちに集め、枚数は忘れたが、何枚かづつ束ねて親方の所へ持って行くと金がもらえた。何に使われるのかはわからない。わずかの田畑は収穫も少なく、我が家の唯一の現金収入だったと思う。
 俺が不思議だったのは、俺は長男だと言う理由でいつも特別だったことだ。ソテツの葉を取りに行くことも畑仕事をすることも免除され、毎日殿様のような扱いを受けた。貧しいのを承知で意地悪でねだる文具やおもちゃもすぐに買ってもらえる。
 しわ寄せは当然弟や妹に行く。弟や妹は何も買ってもらえず、学校へ行くより家の仕事を手伝えと毎日おふくろに叱責される。同じ兄弟なのに、王様と奴隷の差があった。そうしなければならないおふくろの哀しみがわかり、弟や妹の恨みたくても恨めない諦観に気づいた時、俺は権力の使い方を間違えてはいけないと思った。長男として、いずれ家長となる現実を変えることは出来ない。ならば、自分の権力は自分のためでなく弟や妹のために使うべきだと思ったのだ。
 俺は弟や妹が必要としている物や欲しがっている物を、自分が欲しいと要求し手に入れる。もう欲しくなくなったと、手に入れるとすぐに弟や妹に渡す。それはしかし、逆効果になった。俺だから無理して買い与えた物だ。弟や妹は負担に思い、おふくろは無理して与えたのにと怒りや恨みを蓄積して行く。そして俺と家族の関係はどんどん離れて行った。俺がいない方が家族が平和なのだ。中学を卒業すると同時に俺は島を出て、家族に連絡を取らなくなった。
「4年に一度、人目に付かないように平家ゆかりの神社へ詣でる理由をお父さんは話してくれなかったの?」
「親父は自分の出生を嫌ってるところがあったからなぁ・・祖母の命令でしぶしぶ生きてる感じだったけど、俺が中学に上がった時ぐらいに祖母が亡くなって・・親父はすぐに出稼ぎに出たよ。金が無いと食って行けないってね。祖母の死と同時に押し付けられていた見栄を張らなかったし、俺以外の家族にすごく優しくした。今までのお詫びをするみたいにね」
「あらら、お爺ちゃん・・お母さんや弟妹だけでなくお父さんからも冷たくされたの?」
「親父はね、これまでの罪滅ぼしだ。お前も我慢しろと、それは態度でわかったよ。俺もそのつもりだったし」
「マスターって平家の末裔だったの?」
 メグの言葉は改めて俺が産まれた家を意識した。祖母が生きている間、親父と俺が特別扱いされたのはなぜだろう?封建的な、家父長制度のせいだと思い込んでいたのだが・・(続く)


わーい(嬉しい顔)クウネル日記目がハート 
 あめまえですね。昨日は無性に眠く、病院へ薬を貰いに行った時以外は寝てました。寝すぎで余計眠くなったのか天気のせいかよくまぁ寝れたものです(笑)今日もちょっと不調げっそり
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