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2016年05月20日19:24

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小説・限無幻夢 (時間旅行 12)

小説・限無幻夢 (時間旅行 12)
「アパートに住んでるん?」
 先に気づいて声をかけて来たのは千代子だった。帰りはラッシュからちょっとずれていて、席へ座ることは出来なかったがわりとゆったりとしていた。流れる夜景を窓越しに観ていた俺に千代子が近づいて来て並んだ。
「アパートから出て来るんをいっぺんみたんよ」
「そうですか?気づきませんでした」
「一人でくらしてるん?」 
「その方が気楽ですから」
「ええなぁ・・寄ってかまへんか?けん君の部屋見てみたいわ」
 そうして千代子は俺の部屋に来た。何を求めているかが分かった。駅から部屋までの10分ほどの距離を俺は黙って歩き、千代子もまた口を聞かなかった。部屋の鍵を開けるのももどかしく、千代子が部屋に入るのを待ってドアを閉め抱き締めた。抵抗はなかった。俺と同じく、千代子の欲情も高まっていたのだ。
「布団を敷いて・・」
 俺は押入れを開け、布団を引きずり下ろした。後は覚えていない。初めての体験だった。挿入がうまく行かず焦ったことを覚えている。その夜千代子がアパートへ泊まったのか帰ったのかも覚えていない。覚えているのは翌日工場に千代子が来た時、妙に照れくさくよそよそしい態度を取ったことだけだ。
 千代子とは以後、微妙に出勤時間が違った。駅でも電車でも顔を合わせず、時々工場に顔を出すのを待つだけの毎日。千代子が再びアパートを訪ねてくることも無かった。気がつけば千代子は工場を辞めたらしく、別れの言葉も無く姿を消したのだ。
「と言うことは・・お爺ちゃんの子供は大阪にいる可能性があるってこと?」
 理沙が眼を丸くした。メグも驚いている。
「結婚しないと子供が生まれれないってことは無いわけだし、子や孫が出来ている可能性としては、正直俺には千代子しかいない」
 不思議な気持ちだった。俺の心に巣くう罪悪感はここに起因しているのかも知れない。なぜ千代子がそんな気分になったのか?なぜ俺は良く知りもしない千代子を抱いたのか?
 千代子と連絡を取る手段はあったはずだと今はわかる。が、あの時は考え付もしなかった。駅の周辺に住んでいるのではないかと、いたずらに歩き回るだけだった。男と女が身体を合わせる意味を問う日々だった。(続く)

わーい(嬉しい顔)クウネル日記目がハート
 変に眠い一日でした。小説を書かねばと思いながらまずは一眠り(笑)起きたら腹が減って、食べたらまた眠くなって(笑)眠気を吹き飛ばすためにユーチューブからジャズをカセットに録音しながら小説を書くと言う技(笑)アフリカ的なジャズを演奏しているグループが見つかりました。すごくいい感じで録音してたのですが、広告が演奏中に入る(笑)それに投稿者がテクニシャンで、演奏中に別なライブらしい動画とつなぎ合わせています。レベルはすごい。衣装もバックバンドも、演奏状態も違うのに上手に移行しているので音がずれない。クリアーな音が古くなったのが解るし、歌手の顔が若いので随分昔のやつと組み合わせているのはわかるのですが・・画像もその部分は劣化してますしね(笑)おかげで小説の進まないこと(笑)
 で、明日はまた油津へ行こうと思っています。食と文化と音楽の祭典とか言うのがあるらしい。堀川運河をチョロブネが走るらしい。元気があれば行くという予定です。あくまでも(笑)

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