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2019年01月16日10:37

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豬腹內 (ti-pak-lāi=豚の内蔵)

 台北市内の台湾本土系麺料理を売る麵擔仔 (mī-tàⁿ-á=麺料理の屋台)や麵店仔(mī-tiàm-á=麺料理の食堂)では多くの場合、豬腹內 (ti-pak-lāi=豚の内蔵) も売っていて、多くの人が麺料理と一緒に茹でた豚の内蔵を頼む。麺料理はスープ麺の他にスープ無しの和え麺タイプ=焦麵 (ta-mī) を選ぶこともできるし、使用する麺の種類が選べたり、米粉(bí-hún)や粿仔(koé-á=米を原料とする平べったいヌードゥル状の食材)などを選ぶこともできる店が多い。なお、日本人はヌードゥル状の食材をすべて麺類として認識するが、台湾では伝統的に小麦粉を原料とする食材を麺類とし、日本語で言うところの麺のような形状をしていても、米の粉などの違う原料で作られた食材は麺類には含めず、別ジャンルの食材とする。
 台北市内の台湾本土系麺料理店で定番の麺料理といったら摵仔麵(chhe̍k-á-mī)だ。油麵(iû--mī)と呼ばれる台湾本土系の黄色い麵を使い、もやしやニラ、油蔥(iû-chhang=エシャレットを細切れにして油で揚げてある)などの簡単な具だけで、薄切りの茹でた豚肉を入れる店もあれば、肉は全く入れない店もある。つまり非常にシンプルな麵料理なのだ。当然、値段も非常に安い。2018年4月現在では一杯が日本円で130円くらいしかしない。器は碗公(oáⁿ-kong=日本のラーメンどんぶりみたいな大きなお椀)ではなく、小ぶりのお椀を使うので量は少ない。もし量が足りないと思えば、料金は少し高くなるが大盛りにしてもらうこともできる。また、この摵仔麵(chhe̍k-á-mī)は店の看板やメニュー上には切仔麵という当て字表記が使われているのが一般的だが、この当て字の影響でchhe̍k-á-mī(チェッガミィ)でなくchhiat-á-mī(ツェッラミィまたはチェッラミィ)と発音する人が非常に多い。摵(chhe̍k:チェッ=上下に揺する)は麵を持ち手が付いていて底が少し深いザルに入れ、お湯の中で茹でる時の上下に揺する動作を表しているが、これを切という字にすると、その動作の様子が表せないし、漢字の読み方も変わってしまうのだ。
 スープの入っていない合え麺=焦麵(ta-mī :)や炒麵(chhá-mī=蒸した油麵)を頼んだら、別に何かスープも頼むのが一般的。スープはいろいろな種類がある。貢丸湯(kòng-oân-thng)、魚丸湯(hî-oân-thng)と呼ばれる豚肉のつくね入りスープや魚肉のつくね入りスープ、萵仔菜(e-á-chhài=レタスの一種)などの青野菜が入ったもの、豬血(ti-huih=豚の血を凝固させたゼリー状の食材)や大腸(toā-tn̂g)、豬腦(ti-náu=豚の脳)などの内蔵系が入ったもの、蚵仔湯(ô-á-thng=牡蠣入りスープ)蚶仔湯(ham-á-thng=ハマグリ入りスープ)など海鮮系スープ、四神湯(sù-sîn-thng)と呼ばれる漢方スープなど、店によって種類の多少の差はもちろんあるが、大抵いろいろなスープの選択肢がある。
 台湾本土系の、つまり台湾らしい麺料理の食堂や屋台で、しかも人気店の多くが早朝から昼頃までしか営業していない。そして、菜市仔(chhài-chhī-á=伝統的な朝市)の中や近くで営業する店も多い。だから朝市に買い物に来たお母さんやおばあちゃん達が朝食や昼食をとっている光景もよく見かける。
さて、本題の豚の内蔵だが、台北市内の食堂や屋台でよく見かける内蔵料理を以下に挙げる。
小肚(sió-toō͘=膀胱)・軟管(nńg-kńg=食道)・大腸頭(toā-tn̂g-thâu=直腸)・豬肺(ti-hì=豚の肺臓)・生腸(seⁿ-tn̂g=子宮、産道、卵管など)・豬舌(ti-chi̍h=豚の舌)・腰子(io-chí =腎臓)・肝連(koaⁿ-liân=横隔膜)・粉腸(hún-tn̂g=小腸の一部分)・大腸(toā-tn̂g)・豬腦湯(ti-náu-thng=豚の脳入りスープ)・豬血大腸湯(ti-huih-toā-tn̂g-thng=凝固させた豚の血と大腸入りスープ)などだ。茹でた内蔵類には豆油膏(tāu-iû-ko=たまり醤油)をベースにしたタレがかけられ、薬味として薑絲(kiuⁿ-si=生姜の千切り)と芫荽(iân-sui=コリンアンダー)を刻んだものが添えられている。

なお”粉腸”をhún-tn̂g:フントゥンと読まず、hún-chhiâng:フンチアンと読めば台湾南部に多い赤色の腸詰を指す。

写真は左から 肝連(koaⁿ-liân=横隔膜)小肚(sió-toō͘=膀胱)軟管(nńg-kńg=食道)の順。
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