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2020年05月22日05:25

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詩『暗い個室』

 
 重苦しいドアを開いて部屋に入れば、三畳のスペースしかない。

 あるのはテレビと机、そしてキーボードと隙間にすっぽりと入れられて存在感すら薄っぺらいデスクトップパソコン。

 合皮の床にドカリと座り込む。 上着を脱ぎ一息をつく。

 そして灯りを消す。

 窓すらない個室はそれだけで何も見えない黒に満たされた。

 まるで月と星を取り上げられた深海のような空間。

 ほぅっと息をつく。 ああ、安心する。

 不思議なことに気分が落ち込めば落ち込むほどに明るさを求めるというのに、それが底に触れて、頼りなく浮上するときには暗闇を求めてしまう。

 必要なのは完全無欠の闇。 自分の形すらわからないほどの埋没感。

 頼れるのは手元にあるスマホの灯りだけ。 

 能動的に抜け出すことの出来る欠陥品の檻の中に自ら入り込む滑稽な芝居。

 笑ってしまうほどに馬鹿らしい。 けれどそれが時には必要なのです。

 合理的に生きる人間生活に不合理な獣に戻ることを欲する。

 それが必要。 それが私には必要。 

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