あちこちにぶつかって叩かれたブリキの男
フラフラとあての無い旅の中で彼が手に入れた心は無骨でボロボロの金属の中で
腐敗していく
守るための鎧の中でそれはくすみグズグスと崩れ落ち、疫病のような失意と想いを食い散らかす蝿の王
知っていてほしい そうなるとわかっていても
誰もがあっさりと棄てていけるほど簡単じゃないんだ
垂れて滲み出てくる黄土色の膿み
錆を産み穴を開けていく
そうなる前に深く沈みこんでしまおう
沈む底の底 ほのかに滲んでいく月光
放り出されて溶けていく光景
何も見えなくなる わからなくなる
蠢く羽虫に食われていく
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