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2019年10月20日18:39

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詩『なき続ける不如帰たち』


 安定に苛立つのだからどこにも行き場のない宙ぶらりんを否定

 あえて崩れよと不安定を望む。

 堕ちよ、堕ちよ、深層に。 跳ねよ、跳ねよ、しがらみ無き大空へ

 向かう先は黒く何も無く、暗闇の中。 ただ虚無と未知だけがある。

 所詮は何もせずとも食って寝るだけならば同じ道。 だからせめて意思を持って進みたいと愚考する。

 愚行の権利。 行使してでも歩き出したい。 前でも後ろでも。

 頭蓋、僅かに騒ぎ出す喧騒へと進む軽躁

 まっさかさま、心も現実すら飛びこえて縦走。
 
 全ては塑像の遥か下、戻ってこれない重躁になろうとも、それでも喘ぐ。

 その喜びと歓喜と涙。 薄っぺらい自らの器の内側で厚盛りにして唄おうか?

 人生、後何年?
 
 死は唯一定められた現実。

 その中で語り継がれるために喘ぎ、夜に泣く不如帰。

 終劇のあと、語られるには何が必要か?

 残された軌跡は新しい言葉となって観客の口々から漏れる。

 言の葉は消えては産まれ、種の輪廻によって満開に咲き誇り空へと昇っていく。

 形あるモノは全て崩れて土塊と砂粒に成り果てて風に舞う。

 形の無いモノだけが想いによってただ残るのです。

 それを夢に見て、哀れに鳴き続ける不如帰たち。



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