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2019年09月20日16:51

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詩『昔の昔、昔、そして今』

昔の昔、遠い地の果てで戦がありました。
私達とは違う面相の人達が沢山死にました。
刃に切り裂かれ、刺突され、そして大きな火で焼かれてバラバラになりました。

私達はそれを平面図に映し出された、それをただ見てはぼんやりとしながら飯を食い、あるいは酒を飲み、遥か遠き地での戦いを肴に無造作に話のネタとして消費し尽くした。

所詮は遠くのことだと嘯きながら。


昔、海の向こうで戦がありました。
同じ国同士で、思惑通りに、あるいは意思に反して取ったり取られたりの命の奪い合い。

弾丸の豪雨に撃たれ、穿たれて、齧り取られるかのように肉は消え果てる。ただ荒れ狂う海のような非嘆が木霊しました

私達はダラリと座り込む。 ピカリと一瞬消える夜空に喝采をあげ、遅れてやってくる大きな音、その中に僅かに含まれる不協和音のような悲鳴を迷惑がりながらも拍手をしました。

馬鹿な奴らだと笑いながら


さて、そして今。

私達の国で戦が起こりました。

刃が私を貫いてバラバラに、炎が私を炙り、肌は焦げ、黒くなり街は思い出と共に嫌な臭いと悲鳴に包まれました。

イタイ イタイ イタイよ

アツイ アツイ アツイよ

私達は土の上を転がりながらごろごろ死んでゆくのです。

同じように。 当たり前のように。 定められたかのように。

かつて見た映像の中の異国の誰かのように。

ふと私は見たのです。

私の頭と胴が離れるその瞬間。

炎が自分を黒く染め上げた刹那。

自身がバラバラと開け損ねたスナック菓子のように爆ぜて飛び散るその時に。

どこか遠くの誰かが、私達と同じようにふざけ合い、笑いあい、そしてこちらを見下して指差しているのを

ああ、名も知らないあなたよ。 気をつけなさい。

次か次の次にはあなたがそうなっているかもしれないことを、床に落ちた菓子のかけら程度にでも考えておいでください。

後悔と共に聞こえぬであろう忠告に気付きなさい。

そうできなかったからこそ私達はこうなってしまったのですから。




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