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2019年04月19日12:05

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枝川弘監督「嫌い嫌い嫌い」(大映)を神楽座で観た。

伊丹十三氏のデヴュー作とか…というより、私、枝川弘監督作品って初めて見ました。
伊福部昭が担当した【春の渦巻】の監督とか、テレビ作品などで名前は知ってましたが劇場作品は「初」のはず。だから、この映画も全く知りませんでした。
こういう楽しみがあるから、本当にKCDさんには感謝しております。
映画の感想ですが、当時の極めたプログラムピクチャーの一本としてオーソドックスな作品に仕上がってるとしか言いようがない作品でした。
原作が直木賞作家、源氏鶏太のサラリーマン小説。直木賞作家とはいえ、一時期は映像化されたりして、その名も広まっただろうが、今や忘れられた存在に近い作家。古書即売会でも著作は見かけるがそう高くはない。ちなみの私がいる区の図書館の在庫を検索したら86件ヒットした。今、貸出中のはその内、ゼロ。すなわち誰も借りていない現状なのである。きっと直木賞作家ということで図書館は所蔵しているのだろうけど、このような現状では近々、廃棄処分になる候補の作家ではないのか、と考えてしまう。こういう現実をみると流行作家の運命の儚さを考えてしまう。
先日、あるS区の図書館に立ち寄ったところ、廃棄図書に安部公房全集と山本周五郎全集があった。ちょっと気になったが所用もあり荷物になるので、その時は止めて帰りにまた寄ると、ものの見事に安部公房全集の方は全部持っていかれ、山本周五郎の方はそのまんま残ってました。持っていかれたのが古本屋の方でないことを祈りつつ後にしましたが、生田耕作氏が安部公房を貶しているエッセイがありましたが、今の時代、また安部公房人気が再熱してるのか、たまたまなのか、気になった次第。
今、日本の古本屋、Amazonで調べてみたら、安部公房全集って端本で2000円から3000円するんだ。もちろん図書館廃棄本であり、完本ではなかったし、箱もないので売り物としてはイマイチかもしれないけど、廃棄本でタダでもらうには十分価値ある本なのですね。一方、山本周五郎全集の方は安い。うーん、やはり業者が持っていったか、知識ある人が持っていったのかもしれない。
映画から大分離れてしまったが、本作も安部公房全集的な面白味があるということだ。
当時は多量に作られたサラリーマン映画でもてはやされたが、一気に集客力が衰えてしまい影が見えなくなったが、今、掘り起こしてみると意外に味がある作品というわけだ。
劇中、松尾和子が主題歌「嫌い嫌い嫌い」を歌うシーンがある…作劇的にパターンのドラマ中盤!ナイトクラブの雰囲気といい、松尾和子がなぜか主人公、三田村元を見つめるカットがエロッチックで唯一本作で僕が良いな、と心にきた場面でした。

松尾和子【嫌い嫌い嫌い】→https://www.youtube.com/watch?v=7iqkSeKLl6w

でも、この曲って【キサス・キサス・キサス】からイメージされたのかな?

キサス・キサス・キサス→https://www.youtube.com/watch?v=1MVvf5KoHRM


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